あれ?皮下注って何で皮膚をつまんでいるんだろう…?
皮下注=とりあえず皮膚をつまんで実施。
でも、よーく考えたら理由ってなんだったっけ…?と思った看護師さんに向けて、皮下注で皮膚をつまむ理由をまとめています。
エビデンスをもとに解説しているので、新人ナースは必ず読んでくださいね。
また、エビデンスが答えられない看護師さんも、こっそりチェックしましょう。
皮下注射で皮膚をつまむ理由【エビデンスをもとに解説します】

皮下注射とは、皮下の脂肪組織や結合組織に薬剤を注入する注射方法です。
皮下注射で皮膚をつまむ理由は、ズバリ5㎜以上の皮下組織が必要だから。
つまり、確実に皮下に薬剤を注入するためには,少なくとも5mm以上の皮下脂肪厚が必要です。
つまみあげた指と指の幅が1cm以上ある場所を選んで注射しましょう。
もし、皮膚のつまみが甘いとどうなるの?【血管や神経に針が刺さる】

皮下注のつまみが甘くて5mm以下の皮下脂肪厚だった場合、筋肉の表面に走行している血管や神経に注射針が刺さることがあります。
もし「血管」に注射針が刺さったら…
もし血管に注射針が刺さったら、静脈注射と同様の効果です。
皮下注はリンパ管や末梢血管からゆっくり吸収されるので効果発現は約30分ほど。
一方、静脈注射の場合は、直接血管に入るので約10分で効果発現します。
予定よりも早くなったことで、思いもしない副作用が出ることも…。
ちょっと分かりにくい…という人は、インスリン注射をイメージすると分かりやすいですよ。
インスリン注射の「ヒューマリンR」を打っている患者さんいませんか?
「ヒューマリンR」の作用時間は、皮下注してから30分〜1時間後です。
もし、血管に入った場合、本来であれば30分なのに約10分で作用します。
ご飯を食べる前に打つから、血糖値が低下して低血糖症状を起こしちゃう〜。
もし「神経」に注射針が刺さったら…
針先が神経に刺さった場合、患者さんはビリビリ…としびれる痛みを訴えます。
でも、病棟で働いていると、意識レベルが低い人、マヒや知覚鈍麻がある人もいますよね。
そんな患者さんの場合、訴えが遅くなって末梢神経障害を起こす危険があります。
最悪なケースでは訴訟問題にも。
だから、皮下注射の合併症を予防するためにも、注射部位をつまむことは大切です。

【疑問】皮下注って皮膚はつまんだまま薬液を注入するんだっけ?

結論から言うと、皮下注は皮膚をつまんだまま注入しません。
つまんだまま薬液を注入すると、投与した薬液が抜針したときに出てくることがあります。
もともと余裕がないのに、約1ccの薬液を入れたらどうなる?
薬液を投与する前に、皮膚をつまんだ手を離しましょう。
あと忘れたらダメなのが、抜針後の圧迫止血です。
もともと余裕がないスペースなので、つまんでいなくても針穴から薬液は出ていこうとするので、しっかり圧迫してくださいね。
【おさらい】

皮下注射するときに皮膚をつまむ理由は、確実に皮下組織に薬剤を注入するため。
薬液の吸収が可能な皮下脂肪の厚さは、少なくとも5mm以上必要です。
皮下組織は脂肪と結合組織でできていて可動性があって、皮膚をつまむことで皮下組織を固定し、注射針が筋層まで届かないようにする目的もあります。
つまみあげた指と指の幅が1cm以上ある場所を選んで注射しましょう。
筋肉注射は皮膚をつまむんだっけ?それとも伸展させるんだっけ?と即答できない看護師さんは【コチラ】の記事もぜひ参考にしてくださいね。