今さら聞けない【看護技術】

採血による「しびれ」の対処法【看護師が訴えられないための3ステップ】

悩む看護師
悩む看護師

採血中に患者さんに「しびれ」を訴えられたのに、そのまま採血を続行して神経損傷を起こした事例とか聞くと、本当に怖い…。

採血って結構身近な業務だから、自分も起こしてしまいそう。

もし「しびれ」を訴えたらどう対処すればいいのか知っておきたい。

あと、神経損傷起こしにくい採血部位ってあるなら教えて欲しい。

こういった疑問にお答えしていきます。

✓この記事の内容

採血による「しびれ痛み」の対処法は【3ステップ】

絶対にやったらダメなしびれの対処法

「しびれ」を避けるなら、ここの採血部位を狙おう!

✓この記事の信頼性


みも(@Nurse3Info

この記事を書いている私は、看護師14年目の現役ナースです。

今は健診クリニックで働いていて、毎日10人以上の採血をしています。

今回は、採血による「しびれ」の対処法を紹介します。

というのも、ここ最近よく耳にするのが、採血や注射が原因で神経損傷になり訴えられていること。

しかし、訴訟問題に発展している事例は、対処が悪かったケースがほとんどです。

つまり、ちゃんと対処をすれば訴えられるリスクを減らせます

最後まで読めば、「しびれ」を訴えられても素早く正しい対処できる看護師になれます。

また、神経損傷を回避しながら、より安全に採血できるようになるはずです。

この記事は、「看護技術本」を元に書いています。

採血による「しびれ痛み」の対処法は【3ステップ】

まずは、採血による「しびれ」の対処法です。

穿刺したあとに「指先にかけてビリビリという痛みはありませんか?」と聞いて「ある」と言われたら次の3ステップで対処しましょう。

しびれがある時の対応方法
  1. 速やかに抜針する
  2. 穿刺部位の観察
  3. 抜針後も痛みの確認

①抜針する

まずアナタが最初にする対応は「抜針」です。

腫れていないし、逆血もある。

と思って採血を続行しないで下さい

ピリッと痛む、指先にかけて痛い場合は、針先が神経に触れた可能性があります。

速やかに針を抜きましょう。

②穿刺部位の観察

刺入部が腫れたり、赤くなっていないか観察しましょう。

③抜針後も痛みがあるか確認する

針を抜くことで、痛みが軽減されることがあります。

抜針しても痛みがある場合は、どの程度の痛みで範囲なのかも確認して下さい。

 

絶対にやったらダメな採血中の「しびれ」の対処法【自己判断はNG】

絶対にやったらダメな「しびれ」の対処があります。

それが自己判断です。

刺入部が腫れていないから、大丈夫だろう…と自己判断し「しばらくしたら治りますよ」と取り繕うのはNG

患者さんの不信感、怒りを買う行為です。

というのも、しびれの対処法に不信感を持たれると、しびれ痛みが継続したときにあなたに対して怒りがドンドン膨らみます。

「あのとき、しびれがあるって言ったのに、対処してくれなかった!!」と責められても反論できません。

わたし達、看護師ができることは、患者さんの痛みに真摯に対応すること

クレーム対応と同じでうわべだけの対応はバレてしまいます!(⇒参考:クレーム対応

「しびれ痛み」に対して納得していないのであれば、自己判断せずにドクターに診察はしてもらったほうが◎。

手配や段取りなど大変ですが、それが自分を守る行為になります。

採血や注射による「しびれ」の割合ってどれくらい?

幸いにも私が採血、注射、点滴した患者さんで「しびれ」を訴えた人はいません。

もちろん先輩、同僚、後輩にもいません。

ですが、他の病院で採血した時に神経障害が出たという人を2名知っています

しびれ=末梢神経障害になる割合は低そう…なんですが、気になるのは具体的な割合です。

ドクターサロン」の記事によると…

採血中に針先が誤って神経に触れてしまう回数は、3万回に1回の程度です。

採血後に痛みが残る(遷延痛)は4500回に1回

手が腫れる、手が動かなくなるなどの自律神経障害を伴う割合は、150万回に1回です。

最新のデーターもあります!

標準採血法ガイドラインによると

神経損傷の割合は1万〜10万回に1回の程度。

起きる割合は少ないですね。

起こす頻度は少ないから安心とは言い切れません。

なぜなら、一時的な痛みと判断して採血を続行して神経損傷させ裁判になった事例があるからです。

裁判結果は、採血した臨床検査技師に過失を認め、病院と検査技師に損害倍書を求めました。(※詳しい内容は【こちらの記事】で確認)

1年目の時に先輩から聞いてゾッとした裁判事例です。

この事例の場合、患者さんの訴えをムシしたのと手首で採血したのが原因。

つまり、患者さんの声に真摯に向き合い、神経損傷しにくい部位で採血すれば予防できた事例です。

あなたはちゃんと神経損傷が起きにくい部位で採血できていますか?

 

「しびれ」を避けるなら、ここの採血部位を狙おう!【肘正中皮静脈がオススメ】

新人はとくに、血管と神経の分布よりも太くて弾力があって、まっすぐな血管を探すことに必死になります。

神経損傷のリスクを減らしたいなら…

「ここは神経があるから、こっちの血管がいいかな…?」と見極めれるようになっておいた方が◎。

では、神経損傷させにくい部位とはどこでしょうか?

穿刺する血管は、太い静脈を選ぶと「しびれ」が少ないと言われています。

ざっくりすぎて分からなさすぎ〜!とツッコみを入れた人のために、血管と神経のイラストを書きました↓

看護師がよく穿刺部位に選ぶのは、

  • 採血は「肘の内側」
  • ルートキープは「前腕」

採血する時に、看護師さんが第一に選ぶ血管といえば「肘正中皮静脈」です。

上イラスト(右側)の肘のど真ん中の血管。

神経の走行もなく、弾力ある血管でオススメです!

ただ、深部に上腕動脈や正中神経が通っているので、深く刺しすぎないように注意しましょう。

駆血帯を巻いても「肘正中皮静脈」にない場合は、「橈側皮静脈」or「尺側皮静脈」で探しますよね。

どっちの方が神経が少ないと思いますか?

「え…?どっちも同じじゃないの?」と思ったあなたは、次の項目を必ずチェックしましょう。

「肘正中皮静脈」の次に神経が少なくて、太い血管がある場所は「赤丸」した部位です↓

ここ(橈側皮静脈)を狙うと、神経が少ないので「しびれ」を起こさせずに採血できます。

注意する穿刺部位

尺側皮静脈は、付近に太い神経が走行しているので穿刺しないほうが◎。

手関節の橈骨皮静脈は、橈骨神経浅枝が近く、正しく穿刺しても神経損傷を起こす可能性があります。

直針で採血するとき、スピッツの交換時はとくに注意しましょう。

理由は【直針と翼状針の違いとは?使い分けの基準】で解説しています。

 

最後に…

患者さんに「しびれ」の訴えがあれば、すぐに抜針するのが正しい対応です。

しかし、声掛けによっては針を抜く前にどんなしびれかを判断してから抜針はした方が◎

というのも、採血をして10年以上になりますが、「しびれ=痛み」と認識する患者さんがある一定数いらっしゃいます。

ただ単に針を刺した痛みをしびれと認識→「ある!」と訴えるパターンの可能性も。

だから、どんなしびれ症状があるのかを詳しく聞いて判断する必要があります。

そこでポイントになるのが、「しびれって何?」です。

新人看護師
新人看護師

しびれ…?

「電気が走った痛み」とか「ピリピリ、チクチクした痛み」かな〜?

しびれが起きたかは患者さんに聞かないと分からないもの。

しかし、患者さん自身が「しびれ」を分かっていない人がほとんどです。

「指先にしびれなどがありませんか?」

と声掛けをした場合、患者さんの頭によぎることは2つ↓

  • しびれとは何か?この痛みもしびれ?
  • “など”と聞かれているから痛みも含むよね?

曖昧に聞くと「しびれの有無」は確認できません

誰もが経験ある「しびれ」といえば…肘関節をぶつけたときに、ビリっ電気が走るやつ。

採血中に、「肘関節ぶつけたときみたいにビリっとしびれていませんか?」とは聞けませんよね。

私が採血でしびれの確認をするときは、

「指先にかけてビリビリと電気が走った感じはありませんか?」(前腕〜指先にかけて指差しをしながら声かけをしています。)

と詳しく聞くように心がけています

相手が分かりやすい言葉を選ぶのも状況を正しく判断するときには必要です。

もし、ただ単に針を刺した痛みで抜いたら…どうですか?

結局、痛い思いをするのは患者さんです。

看護師にとって「神経損傷」は身近

採血で「神経損傷」を起こす割合は、1万〜10万回に1回程度。

1万回も採血しない…と思いますが、今までの自分の採血者数を計算してゾッとしました。

今、健診クリニックで働いているので、1日の採血数は10〜15名ほどです。

常勤なので週5日。

月21日出勤だったので1ヶ月で210〜315名の採血しています。

1年間で2520〜3780名です。

4年働けば10080名に到達

もう8年目になるので、とっくの昔に神経損傷を起こす割合に到達していました〜!

幸いにも神経損傷になった患者さんはいませんが、採血や注射、点滴の業務があれば、この先も神経損傷で訴えられるリスクがあります。

神経損傷を起こさせないためにも、ちょっとでも違和感があったらすぐに対応することが重要です。

穿刺したときに、電気が走る痛み、ピリピリ・チクチクした痛みがあれば、次の3ステップで対応しましょう。

しびれがあるときの対応
  1. 速やかに抜針
  2. 穿刺部位の観察
  3. 発信後も痛みがあるか確認

もし異常な痛み、知覚異常がある場合は、神経損傷の可能性が高いです。

1人で対処せずにドクターの診察を促しましょう

すぐに診察できない場合は、神経内科や整形外科への紹介でも◎。

慌てずに、冷静に判断するのが大事ですが、一番の優先事項は、患者さんへの謝罪です

一番つらい思いをしているのは患者さん

謝罪なく対応されても不信に繋がります。

採血で患者さんの顔色が悪くなった時の対処方法もチェックしておいた方が良いですね↓

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