「今度こそ!」と思って転職しても、
パワハラが横行していたり、異常な量の残業が課されたり、「転職しなければよかった」と後悔する看護師さんは少なくありません。
誰だってこんな目に遭いたくないと思っているのに…
なぜブラック病院に引っかかってしまうのでしょうか。
病院は、入職前に自院の悪い面まで教えてくれないので、見分けるのが難しいのです。
やっぱり「転職は運」なんだ…と思った方も多いと思いますが、違います。
運ではなく、注目ポイントを押さえさえすればいいだけ。
そうすれば、ブラック病院を回避して、ホワイト病院を見分けることができるのです。
そこでこの記事では、
ブラック病院を回避したいあなたに向けて、ブラック病院とホワイト病院の見分け方を紹介していこうと思います。
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「ブラック病院」と「ホワイト病院」の違いとは?
ブラック病院とか、ブラック企業ってよく聞くんですけど…
そもそも「ブラック企業の定義」ってあるんですか?
残念ながら…
ブラック企業の定義はありません。
ですが、一般的な特徴としては…
- 労働者に対して極端な長時間労働やノルマを課す
- 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなどの企業全体のコンプライアンス意識が低い
- このような状況下で労働者に対して過度の選別を行う
引用:確かめよう労働条件
と言われています。
労働者という目線で考えればこの3つなんですが…
個人的には「経営者の違法意識が低く、それを自覚しながら改善する気もない。アンフェアな業務体制をさせる私利私欲にまみれた悪徳病院」がブラック病院の定義と考えています。
…というのも、
「長時間労働」って一般的なブラック企業の特徴です。
看護業界でもよくあることですが、
ちゃんと残業代が出れば納得できたり、結果としてスキルが身について自分のためになることもあります。
つまり…
明らかな法律違反はダメだけど、
結局は自分が病院に何を求めるか次第ってこと!
仮に激務な病院に入っても、重宝されるスキルが身につくかもしれません。
一方、ホワイト病院に入ったとしても、ルーティンワークで刺激がないなどの不満を感じてしまうこともあります。
だから、
ホワイト病院に入ることが「本当にハッピーなことなんだろうか?」と自分自身のキャリアプランやライフプランに合わせて考えていくことが大事なんです。
とはいえ…
ブラック病院で働けば、休日が取りにくい、サービス残業が当たり前。
いくら看護に情熱を持っていても一向に給料も待遇も改善されないので、徐々に疲弊して辞めいくケースも後に断ちません。
また、心までもギスギスして人間関係が悪化していくことも。
意図しない環境に放り込まれて苦しむんでいる人は救われるべきでしょう。
自分が大事にしたいことを見極めたうえで、希望の環境に身を置けるのが理想ですね。
ブラック病院が一概とダメという訳ではなくて、
職場に何を求めているのか…という自己分析が大事なんだね。
自己分析が苦手な方は、以下の記事を参考にしてください。
入ってはいけないブラック病院の見分け方
ここからは、より具体的なブラック病院の見分け方について紹介します。
入職する前にブラック病院を見分けるためには、
- 求人情報
- 病院見学
- 面接
のなかで特に注目すべきポイントがあります。
それぞれの見分けるポイントについて、詳しく解説していきますね!
入ってはいけないブラック病院の見分け方【求人編】
まずは求人情報のなかから特に注目すべきポイントをまとめました。
それが以下の通り↓
- あらゆるところで同じ求人広告を見かける
- 基本給や残業代、各種手当の明記がない
- 抽象的な言葉や見慣れない横文字ばかり
- 採用者数が不自然に多い
注意すべきポイント①あらゆるところで同じ求人広告を見かける
あらゆる転職サイトに求人を出しまくる病院は気をつけてください。
人材にお金をかけている病院なように感じますが…なぜですか?
求人サイトに求人情報を掲載するのにも費用と手間がかかるので、これらがすべてブラック病院というワケではないですが…
あらゆるサイトに広告が出ているような病院は、慢性的な人手不足の可能性が高いです。
そうなんだ…。
なんとなく気づいている人も多いけど、ちゃんと確認している人は周りでも少ない気がする。
注意すべきポイント②基本給や残業代、各種手当の明記がない
月〇〇万円〜とざっくり書いてある病院も要注意です。
普通にわかりやすいと思うけど…、
何がダメなんですか?
実は…残業代や夜勤手当込みで記載している可能性があります。
パッと見は高給に見えますが、実際は記載よりも少なくなるので、基本給や残業代、各種手当の記載も一緒に確認しておきましょう。
注意すべきポイント③抽象的な言葉でアピール
「やりがいある仕事」「アットホームな職場」「若手が活躍!」
といった抽象的な言葉を多様している病院も気をつけましょう。
求人情報でよく見かけるやつだ〜!
抽象的な言葉でアピールする病院は、
それ以外にアピールできる実績がない場合がほとんどなんです。
今の職場の人間関係がギスギスしていたり、やりがいを感じていなければ、気になっちゃうワードなんだよね〜。
注意すべきポイント④採用者数が不自然に多い
ベッド数に対する求人数やパートの募集がやたらと多い病院も気をつけましょう。
ベッド数に対する求人数って何?
7対1とか10対1とかって聞いたことあるよね?
病院のベッド数と看護体制については、大抵の病院がホームページで公開しているので、ほぼ誰でも知ることができます。
転職の候補先の病院は必ずチェックしておこう。
病院ごとに必要な看護師の数の計算方法は、ベッド数と看護体制から割り出すことができます。
詳しい計算方法はこちら↓
7対1基準の病院で、必要な看護師数の計算方法については、
(参考)看護師必要数算定と厚労省告示に関して、交渉で組合から法人側に提供した文書を参考にしてください。
もし、やたらとパートの募集をかけている、常に大量募集をかけている…といった病院は、ブラック病院であるがゆえに辞める人が多い恐れがあります。
また、こういった病院では面接があっさりと通ってしまうのです。
なかなか内定が出ずに焦っている人ほど引っかかりやすいので、気をつけてくださいね。
ちょっと待って…?!
求人情報で見極める必要があるってことは、大手の看護師転職サイトでも平気でブラック病院が紹介されるってことだよね?
そうなりますね。
転職サイト経由で転職すれば報酬が得られるので、「本人が望んだ」という形にしてブラック病院への入職を後押しするケースも多いです。
やっぱ使わないほうがいいのかも…と思ってしまった。
それは違うよ。
数は少ないかもしれないけど、ちゃんとサポートしてくれる看護師転職サイトはあるのは事実です。
わたしみたいに良心的な看護師転職サイトを見つれば、転職活動はグンと楽になるよ。
ちなみに、
転職回数4回のうち登録した看護師転職サイトが9社のわたしが、リピートしている看護師転職サイトがあります。
気になる方は【こちら】の記事を参考にしてください。
入ってはいけないブラック病院の見分け方【病院見学編】
次は、病院見学のときにブラック病院を見極めるポイントです。
見学したときに以下のポイントで「あれ?」と思う病院は、ブラック病院の可能性があります。
- 職場がキレイかどうか
- 看護師の身だしなみが整っていない
- 看護師の年齢層が偏っている
注意すべきポイント①職場がキレイかどうか
ナースステーション内にカルテや書類、備品が散乱している病院は気をつけましょう。
繁忙期や忙しい時間だったら仕方ないと思うけど…?
そうとも言い切れません。
整理整頓できている=人員的にも余裕があるという指標にもなるのです。
また、忙しいときほど整理整頓しているほうが作業効率が上がるので、整理整頓できる職場で働くメリットのほうが高いでしょう。
注意すべきポイント②看護師の身だしなみが整っていない
ブラック病院を見極める上で、看護師の身だしなみは超重要なポイント!
重点的に見るポイントはどこですか?
髪型や顔色、化粧、笑顔の有無なんか見ればOK。
身だしなみが乱れていれば、身なりに気を使う余裕がなかったり、誰も身なりに注意するような人がいない職場ということです。
また、笑顔が少ない職場も多忙かつ人間関係が悪い病院の可能性があります。
注意すべきポイント③看護師の年齢層が偏っている
若い看護師ばかりいる、あるいは年配の看護師が非常に目立つ病院も気をつけましょう。
自分の年代に近い人が多いと働きやすそうに見えるけど…。
極端に年齢に偏りがある職場は、
次のような可能性があるので気をつけたほうがいいですね。
- 若い看護師ばかりなら、体力的にハードすぎて、年配看護師ではついていけない
- 年配看護師が目立つなら、新人いじめやパワハラが横行している
めちゃくちゃヤバいね…。
看護師の年齢にバラつきがないことも、ブラック病院の見極めで結構重要なんだね。
入ってはいけないブラック病院の見分け方【面接編】
求人情報と病院見学がクリアしても、まだ油断はできません。
最後は面接でブラック病院を見分ける方法を紹介します。
見分けるポイントは次の通り↓
- 威圧的な面接官
- 残業時間や離職率などの質問を嫌がる
- 面接のその場で採用、入職を急かされる
注意すべきポイント①威圧的な面接官
面接官の態度が、明らかに威圧的な場合はブラック病院の可能性が高いです。
でも、臨床経験が1年未満だと、そうなってしまうこともあるのでは…?
人によって態度を変えるのは完全にアウトです。
普段から職員に対して尊重できていない職場の可能性が高く、好き嫌いで対応が変わるなど、居心地が非常に悪い職場かもしれません。
注意すべきポイント②残業時間や離職率などの質問を嫌がる
労働条件について質問したときに、イヤな顔をされる場合も要注意です。
答えたくないのは、隠したい事実があるからでしょう。
めちゃくちゃ気になるところではあるけど、聞きにくいポイントだよね。
ですが、実際に働いてみたら求人情報と違ったということも。
よくあるのが勤務時間です。
日勤は8時半〜17時と書かれていても、実際は1時間前には来て情報収集や食介をしなくてはならない職場。
早出や遅出といった変則勤務が必要な場合も。
勤務時間以外にも給与や休暇日数、勤務体制…など実際と異なるパターンもあります。
突っ込んで聞かないと痛い目に遭うと分かっていても聞きづらいよ…。
自分では聞きづらいと思っている方は…看護師転職サイトを使うのがオススメです。
担当者に質問すれば、事前に確認することができので、面接前でブラック病院か判断ができますよ。
注意すべきポイント③面接のその場で採用、入職を急かされる
第一希望の病院だったとしても、即採用はちょっと怪しく思っちゃうよね。
てか考える時間もほしい…。
その場採用が全てブラック病院ではないですが、
入職を急かしてくる場合は人手不足で目先の人材を確保しようとしている可能性が高いです。
一旦冷静になってブラック病院の特徴がないか確認してから返答するようにしましょう。
こんなとき、面接同行してもらえる看護roo!やレバウェル看護(旧 看護のお仕事 )を使って転職活動すれば、返答に困る心配はありませんよ。
入ってはいけないブラック病院の見分け方【その他】
基本的にブラック病院かどうかって、求人情報・病院見学・面接からしか見分けられないのでしょうか?
いえ、そんなことはありません。
世の中は「ブラック企業」が公表されているリストが多数あります。
例えば、「ブラック企業リスト」なんかは、厚生労働省の公式発表です。
ただ、病院やクリニック、施設の発表はないので、看護師には向かないかもしれません。
やっぱり…
難しいよね。
一般企業に比べると難しいかもしれないけど、全く無いわけではありません。
病院や施設、クリニックで働きたい看護師にもオススメなのは「ブラック企業マップ」です。
病院数は少ないですが、有用な情報が得られるリストですよ。
口コミサイトは参考になるのか?
口コミってブラック病院の見極めに使えそうだけど…
どうなんでしょうか?
あくまでも参考程度にしたほうがいいかも。
というのも、口コミは、一方的な情報に偏ってしまう恐れがあるからです。
看護師に人気の口コミサイトといえば、「ナスコミ」です。
ナスコミの特徴といえば、実際にその病院で働いたことがある人だけが口コミを書けるシステム。
ただし、ここに落とし穴があるのです。
一見、本当のことのように感じてしまいますが、辞めたor辞めようと思っている人が書いているという事実を忘れてはいけません。
「働きやすい」と思っている人はナスコミに口コミはしないのです。
つまり、口コミを書いている人は、何かしら病院に不満を感じている人。
事実を脚色している可能性だってあります。
とはいえ、脚色するつもりはなくても、辞めたい気持ちが強く、悪いところばかり見えているかもしれません。
…ということから、
あくまでも参考程度に見ましょう。
口コミは、ほどほどに…ってことだね。
【番外編】ホワイト病院の見分け方
ここまでブラック病院の見分け方を解説してきましたが、「ホワイト病院」を知るサイトもあるので、紹介しようと思います。
ホワイト病院の見分け方①くるみん、プラチナくるみん認定企業
くるみんマーク、プラチナくるみんマークは、子育てサポート企業として厚生労働大臣の認定を受けた証です。
長時間労働の削減や有給取得促進など、仕事と家庭の両立をサポートする制度の整った病院がわかります。
独身であっても、プライベートと両立したい看護師にとっては基準になるはずです。
ちなみに…
くるみんマーク、プラチナくるみんマークの認定を受けた病院の探し方は、公式HPの都道府県別一覧だと探しにくいので「くるみん 病院」と検索するのがオススメ。
ホワイト病院の見分け方②ホワイト企業アワード
一般財団法人日本次世代企業普及機構が審査し、公表している「ホワイト企業アワード」。
法令遵守、働き方の柔軟性、生産性、ダイバーシティなど、かなり厳しい審査基準が設けられていて、認定されるのは応募企業の5〜10%という狭き門なんです。
更新の際に審査に落ちることもあるので、掲載されているのは本当に一部の有料ホワイト企業だけ!
ブラックなのかグレーなのか曖昧な職場が多い病院にとっては、数少ないレア求人になるのは確かですね。
ブラック病院に入ってしまった場合の対策方法
もし事前に見分けることができずにブラック病院に入ってしまった場合、どうしたらいいのでしょうか。
対策方法は次の4パターンあります↓
①求人情報に記載されている情報に誤りがる場合、利用した看護師転職サイト、ハローワークへ報告
②社内で対処を求める場合、看護部長や人事部長など話が通じそうな相手に直訴
③問題を公にして対処したい場合、労働基準監督署などの行政機関に相談・申告
④法的な対処を求める場合、都道府県労働局のあっせんを申請する
⑤弁護士に相談し訴訟する
いろんな対策方法がありますが…
覚えておいてほしいのは、余計な手間をかけてまでブラック病院と戦おうとせず、すぐに転職をしたほうが身のためだということです。
泣き寝入りするしかないってこと?
泣き寝入りというか…
対価に見合った行動が転職と言えるのではないでしょうか。
お金も時間もかかるし、何よりも精神的エネルギーが必要なうえに、あなたが納得できる解決法とは限りません。
泣き寝入りしないためにも身を引く決断も必要なんだと思います。
最後に…
入ろうとしている病院がブラックかどうかはガチャ要素が強いイメージがありますが、意外と公表されている情報からも見極められることがあります。
ただ、一番大事なのは、自分がどんな価値観をもち、どんな環境で働きたいのか。
もしかしたら…
自己分析をした結果、世間でいうブラックと言われているような病院のほうが満足できる可能性もゼロではありません。
「ブラック病院がダメ」と安易に切り捨てず、ぜひ自分と志望病院のことを深堀してみてくださいね。