今回のテーマは、「採血後の内出血」についてお話ししようと思います。
twitterで「採血した看護師さんが下手で内出血になった。」というツイートをみて、なんだか悲しくなりました…。
たしかに採血は針を扱う看護師の腕も関与します。
ですが、一概に下手(採血手技)だけが原因ではないのです。
そこでこの記事では、採血後に内出血が起きてしまう4つの原因とその対処法をご紹介します。
詳しく分かりやすく解説するので、ぜひ参考にしてくださいね。
【看護師必見!】採血後に内出血ができる4つの原因
採血後の内出血ができる原因は、主に次の4つが考えられます。
- 血管を探すときに「血管外に血液」が漏れた
- 針の固定が甘かった
- 採血中に腕が動いた
- 採血後の止血が不十分
内出血とは、一般的に「あざ」と呼ばれるもので、医療用語では「皮下血腫」と言います。
原因①血管を探すときに「血管外」に血液が漏れた
採血をする際、駆血帯を巻いて太くて真っ直ぐで弾力のある血管を探します。
ただ、人によっては針を刺そうとするとスルリと血管が逃げてしまったり、予想以上に深くて何度も刺したりすることもあるのです。
その際に、血管に刺して穴があいて血管外に血液が漏れてしまい、内出血を引き起こす場合もあります。
原因②針の固定が甘かった
針が血管に入ったら、針を固定して採血をしていきます。
針をしっかり固定しているつもりでも、採血スピッツの交換などで少しずつ動くこともあるのです。
針の位置がずれて血管を突き破り、血管外に血液が漏れてしまい、内出血を引き起こします。
原因③採血中に腕が動いた
採血中に腕が動いてしまうと、血管や針の位置がズレてしまいます。
針が血管を突き破ったり、傷つけてたりして、血管外に血液が漏れて内出血を起こしてしまうのです。
原因④採血後の止血が不十分
採血後にしっかり圧迫しないと、穿刺した部位から血液が漏れて内出血を起こしてしまいます。
採血後に「押さえておいてください」と伝えても、揉んでしまったり、すぐに手を離してしまったりする人もいるのです。
こんな患者さんは内出血を起こしやすい
採血しやすい血管といえば、太くて弾力があって浅い位置にあり、蛇行していない血管ですよね。
裏を返せば、血管が細くて深い血管は、針を正確に刺すことが難しく、内出血を引き起こしやすくなる傾向ってこと。
とはいえ、採血難の場合、細心の注意を払っても内出血は回避しづらいかもしれません。(後ほど紹介する内出血後の対応を覚えておくと安心ですよ。)
また、「抗凝固薬」や「抗血小板薬」を服用している患者さんも、しっかり圧迫止血を行わないと採血後に内出血を起こすリスクがあります。
例えば、ワーファリンやプラビックス、エパデールなど。
この場合は、内出血の予防(対処)は可能です。
採血後に内出血を引き起こさないためにも、通常よりも長めの時間、しっかり圧迫するように声掛けしましょう!
…で、どれくらいと伝えるのがいいと思いますか?
- 通常の人は5分
- 抗凝固薬・抗血小板薬内服中の人は10分
と書いています。
しかし、その倍以上の時間を患者さんには伝えることをオススメします。
というのも、私は1日に100名くる健診クリニックで働いていますが、せっかちやめんどくさがり屋の患者さんが多く、伝えた時間よりも早く圧迫を解除するからです。
しかも私が働く健診クリニックはわざわざ圧迫しなくていいように止血ベルトを使っているにもかかわらず、5分も経たずにベルトを外す方がいます。
皮下組織にじわじわ出血していても自覚症状はなし。
しばらくしてから腕が曲げにくい、腕が重だるいと感じたり、絆創膏を外したら内出血になっているケースもよくあります。
気持ち長めの時間(+5分)圧迫してもらうように声かけましょう!
- 通常の人は10分
- 抗凝固薬・抗血小板薬内服中の人は15分
しっかり圧迫止血するように伝えればOKです。
圧迫止血の注意点
止血ベルトがない場合は、患者さんに穿刺部位をしっかり押さえておいてもらう必要があります。
ただしく圧迫止血してもらうためにも、次の2つの注意点について患者さんにしっかり伝えましょう。
- 肘を曲げて押さえない
- 採血部位を揉まない
多くの方がやりがちなのが、肘を曲げて圧迫止血すること。
実は正しく圧迫止血する際、オススメしない方法です。
なぜなら、肘を曲げることで採血した位置と圧迫する位置がズレることがあります。
しっかり押さえたつもりがゆるい状態です。
だから、肘を曲げずにしっかり押さえるのがポイントですね。
また、穿刺部を揉んでしまう方も少なくありません。
生理学の授業で教わったと思いますが、
採血部位を押さえることで、採血針の傷ができた部分に血小板が集まり止血されます。
ようするに、揉むことで集まってきた血小板を散らす行為なのです。
揉んでしまったことで青く腫れ上がり、神経を圧迫して痛みやしびれを伴うことも。
絶対に採血部分は揉まないように声掛けするのも大事ですね!
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\皮下血腫が原因で採血後にしびれが出ることもあるよ/
内出血になった場合の対処法【内出血を早く消す方法】
採血後の内出血は、通常自然に治るケースがほとんど。
年齢などの自然治癒力によって差がありますが、早ければ1週間、長くとも2〜3週間で内出血は消えていきます。
(見た目の経過としては一般的に青色→緑色→黄色となって消える)
とはいえ、内出血の跡が気になってしまう方も少なくありません。
「あざがいつまで経っても消えない」「どんどん広がっている」と不安を募らせないためにも、早く内出血の跡を消す方法をお伝えしておくと安心ですね。
内出血を早く消す方法は、ずばり氷や氷水などで患部を冷やす方法です。
患部を冷やすことで毛細血管が収縮し、血液が大量に送られてくるのを防ぐことがあります。
ようするに、これ以上内出血を広げないための対処法ってこと。
内出血の範囲が広がれば、しびれなどの症状が出て下手したら訴えられることもあるため、積極的に冷やす方法をおすすめします。
アイシングを終えるタイミングは、青あざがそれ以上広がらなくなり、腫れが収まってきたころです。(目安は2〜3日ほど)
ただ、皮膚に氷などを直接当ててしまうと凍傷の危険があるため、タオルなどに包んで行いましょう。
それでも心配な患者さんドクターの診察を促し判断してもらうことも有効ですよ。
【まとめ】採血後は、揉まずにしっかり圧迫してもらうことが大切!
採血後の内出血は、採血が下手とは言い切れません。
圧迫止血の甘さでも採血後の内出血は起こるのです。
採血部分を揉んでしまう患者さんもいます。「すぐに血が止まる」と言って圧迫しない患者さんもいます。
にもかかわらず、内出血ができれば「採血が下手」となるのは辛いですよね。
そう思われないためにも、採血後は、揉まずにしっかり圧迫してもらうよう声をかけるようにしましょう。
- 採血後の止血時間を長めに伝える
- 止血が甘いときのリスクを伝える
- 圧迫方法の詳しいやり方を教える
それでも難しい場合は、「もの」を最大限に利用してみてはいかがでしょうか。
止血ベルトを巻いたり、ステプティ等の圧迫止血用の絆創膏を使うのもオススメです。
とはいえ、個人の看護師が用意するものではなく、職場で検討していく必要があります。
コスト面で断られるかもしれませんが、一度、看護師長や主任に検討してほしい旨を伝えてみてもいいかもしれませんね。
ただ、採血後は揉まずにしっかり圧迫してもらうことは大切なので、検討してもらえたとしても忘れずに行っていきましょう。
採血手技に不安がある看護師さんに向けて、採血が上達するコツやポイントを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。