明日から使える看護技術

根拠がわかれば忘れない!「採血スピッツの順番」の正しい覚え方

どうも、こんにちは。看護師のみもです。

今回は、「スピッツの入れる順番の覚え方」を紹介します。

多くの新人看護師が苦戦する「採血スピッツの順番」。

私も新人のとき、なかなか覚えられなくてメモ帳に書いた「キャップ色の順番」をこっそり見てました。

※注)スピッツ内の薬剤によってJIS規格で色が決められています。
新しい職場へ転職してもだいたい一緒ですが、違う場合もあるので必ず確認しましょう。

でも、実は覚えるのは簡単!

「根拠」さえしっかり頭に入っていたら、スピッツの入れる順番で困ることはなかったのです。

そこでこの記事では、スピッツの順番が覚えられない看護師さんに向けて詳しく解説していきます。

ちなみに・・・
当ブログ「中堅ナースの日常」で紹介する記事は、正確な情報を届けるをモットーにしているため、参考文献をもとに記載。

この記事もしっかり参考文献を見て書いています。

参考文献については【こちら】を参照してください。

「採血スピッツの入れる順番」覚え方で大事なことはたった1つ!

スピッツの入れる順番で大事なことは、たった1つ!

検査データへの影響が少ない順」と覚えましょう。

というのも、
スピッツに入れる順番によって、必要な量が足りなかったり、凝固や溶血してしまい、正しく検査ができないことがあります。

私たちが採血する際、

「検査データへの影響が少ない順番でとる」

これが最大のミッションなのです。

もちろん、
痛くないように採血する、採血の合併症を起こさない…などもありますが、正しく検査できないと意味がありませんよね。

患者さんが今どんな状態なのか、
正しくアセスメントする上で、客観的な「採血データ」は欠かせないってワケ。

 

「採血スピッツの入れる順番」の根拠とは?

採血スピッツの入れる順番の基本は「凝固しやすいものから入れる」でOKです。

しかし、それでは正しく検査できないことがあります。

なぜなら…
「真空管採血」と「シリンジ採血」とでは、スピッツに入れる順番が異なるからです。

真空管採血では「手順6」でスピッツに入れます↓

一方、シリンジ採血の手順6ではシリンジで引いてる状態。スピッツに分注するのは「手順9」です↓

つまり、
スピッツに血液を入れるタイミングが、「真空管採血」と「シリンジ採血」では差があるってこと!

だから、最初に入れる1本目のスピッツが異なるのです。

検査データへの影響(凝固や溶血)を防ぐ目的から1本目に入れるスピッツは

  • 真空管採血では、生化学用スピッツ
  • シリンジ採血では、凝固用スピッツ

となります。

このまんま覚えてもいいのですが…

怖い先輩に「なんでそれから入れたの?」と指摘されたり、
後輩に「なぜですか?」と質問されてドキッとしないためにも理由はちゃんと覚えておいたほうが安心です。

亜子先輩
亜子先輩

なぜ入れる順番が異なるか?

スピッツ内の薬剤に関係していました。

 

意外とスルーされがち!採血スピッツと薬剤の関係

先ほどチラッと言いましたが・・・
スピッツを入れる順番は、検査データへの影響が少ない順番で入れていきます。

じゃあ、その順番ってどうやって決まるのか?

スピッツの中を思い出してみてください。

それぞれ中に入ったものが違いますよね。

例えば、生化学(茶色)はゼリーっぽいものが入っていませんか?

凝固(黒)は透明の液体、血糖(グレー)と血算(紫)は白い粉がちょろちょろっと入っていますよね。

このようにスピッツごとに中身が違うのは、検査で使う「血液成分」が異なるからです。

簡単にいうと…
薬剤を変えて「必要な成分」を取りやすくするってこと。

「なぜ採血をするのか?」

最初に戻るってワケですね。

血液検査は、
診断や治療方針の決定、経過の観察などにおいて客観的な指標となる重要な検査

スピッツに分注する順番などで検査データが変動するため、入れる順番がものすごーーく大事なんです。

 

凝固系スピッツを優先にいれる理由

先輩から、
液体や白い粉が入ってるスピッツから優先で採る
と教えてもらったはず。

先ほども言いましたが、検査データに影響あるからでしたよね。

じゃあ、スピッツ内に入ってる液体やゼリー、白い粉がどんな作用をする薬剤なのか知っていますか?

生化学のスピッツには、半透明のゼリーの血清分離剤とフィルムの凝固促進剤です。

血算・血液型のスピッツ内には、白い粉の抗凝固剤

凝固・赤沈のスピッツ内には、透明な液体の抗凝固剤

ヘパリンナトリウムのスピッツ内には、フィルムの抗凝固剤が入っています。

ポイントは、「抗凝固剤」が入ってるということは、凝固すると検査データに影響してしまい非常にまずいってこと。

治療方針にも影響が出てしまうので、液体や白い粉の入ったスピッツを優先に採るのです。

反対に、生化学スピッツは、凝固促進剤が入っています。

つまり、優先度は低いってことですね。

ちなみに、以下の図は採血したあと検査室では、以下のように検査を進めていきます。

血液成分とスピッツ内の薬剤の関係
杏ちゃん
杏ちゃん

あれ…?

凝固系が優先なんだよね。

じゃあ、なんで真空管採血では生化学が1本目なの?

 

【真空管採血のスピッツの順番】生化学→凝固→血算→血糖の順で!

真空管採血のスピッツに入れる順番は、

  1. 生化学(茶色)
  2. 凝固(黒色)
  3. 血算(紫色)
  4. 血糖(グレー)

の順番で入れていきます。

先ほど、凝固系スピッツから優先に採ると言いましが、真空管採血の1本目は生化学スピッツ

言ってること違うやん!
と突っ込んでいる人もいるかもしれません。

ですが、それには理由があります。

凝固スピッツから入れると、取り直しになる理由

真空管採血の際、
1本目を生化学スピッツにする理由はずばり…「穿刺したときに少量の組織液が混入する」からです。

凝固が生じる可能性があるため、1本目は凝固しても問題ないスピッツ=生化学スピッツというワケ!

組織液は最初の1本目だけに影響するので、2本目以降は通常通り「凝固しやすいものから入れる」でOKです。

杏ちゃん
杏ちゃん

真空管採血って、
スピッツにそのまま血液が入るから常にフレッシュだよね?

それでも凝固しやすいものから入れたほうがいい理由とは?

亜子先輩
亜子先輩

凝固スピッツを後回しにした場合、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)やPT(プロトロンビン時間)が延長します。

検査データに影響があるので、必ず2本目には凝固スピッツを入れましょう!

翼状針の針を使う場合は要注意!

生化学スピッツを1本目にとる理由はもう1つあります。

翼状針+真空管採血した場合、「量不足」を予防するためです。

というのも、
翼状針を使用する場合は、チューブ分だけの採血量が減ってしまいます

チューブは意外と長くて約30cmなので、約0.4mlの採血量が足りなくなります。

凝固用スピッツなどでは、抗凝固剤との混和比率が重要なので、正しい量を採取する必要があります。

混和比率がピッタリ決まっているスピッツは以下の2つ↓

  • 凝固(採血量1.8ml)→クエン酸ナトリウム:血液=1:9
  • 赤沈(採血量1.6ml)→クエン酸ナトリウム:血液=1:4
亜子先輩
亜子先輩

線までピッタリ採血しないと正しい検査はできません。

夜勤の忙しい時間帯に検査室から「取り直し」の電話がかかってこないように、しっかり決められた量を採りましょう。

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シリンジ採血の場合は、「凝固から」分注しよう!

シリンジ採血の場合、採血後に分注しなくてはなりません。

血液が凝固する前にすばやく抗凝固剤と混和する必要があるため、凝固用スピッツから入れましょう。

亜子先輩
亜子先輩

採血の基本である「凝固しやすいものから入れる」に忠実に従って大丈夫です。

というのも、分注した血液なので組織液の混入などの心配がありません。

それどころか、採血からスピッツに入れるまでに時間がかかるため凝固しやすい状態です。

正確に検査するためには、凝固させないことが最も重要事項になります。

 

【まとめ】採血スピッツを入れる順番の覚え方

以上、採血時のスピッツに入れる順番を紹介しました。

理由がわかれば、「何から入れたらいいんだろう…?」ともう悩むことはないはずです。

では、最後におさらいをしましょう。

真空管採血するとき、最初にとるのは「生化学スピッツ」です。

穿刺したときに少量の組織液が混入するため、凝固が生じる可能性があります。

凝固しても問題ない生化学スピッツから採血しましょう。

また、真空管+翼状針で採血する場合、翼状針のチューブ分(約0.4ml)の血液が足りなくなります。

先ほどの「凝固してもいい」+「血液量が多少減っても問題ないスピッツ」という条件も加わるので、「生化学スピッツ一択」となるはずです。

で、シリンジ採血の場合は、採血の基本「凝固しやすいスピッツから入れる」でOK。

わかっている人も多いと思いますが、分注しなくてはならないからです。

血液が凝固するまでにすばやく抗凝固剤と混和する必要があるため、凝固用スピッツから入れましょう。

シリンジ採血のスピッツの入れる順番は、凝固→血算→血糖→生化学

これで採血時のスピッツの順番はバッチリです。

この記事で紹介した「スピッツの入れる順番」は、根拠をもとにした基本の順番ですが、病院のルールがある場合があります。

先輩たちとの不要なトラブルを避けるためにも、マニュアルをこっそり確認しておくと安心ですよ。

また、正しく検査するために、スピッツの入れる順番と同様に大事なことは次の2つ。

上記の記事も併せてチェックしておくことをオススメします。

ABOUT ME
みも
二児のママナース。 【経歴】看護学校卒業後、病棟看護師(内分泌内科&眼科)、眼科クリニック、呼吸器内科クリニックを経て、現在は健診クリニックで働く。副業で夜勤バイト、消化器内科クリニック、小児科クリニックの経験もあり。 ただいま、QOLを高めるために「お金」の猛勉強です!