今日も仕事の抜けがいっぱいあった…。
あなたがズドーンッと落ち込むのもムリはありません。
看護師の仕事は、命に直結する仕事。ちょっとしたミスで患者さんの生命を脅かす危険があるため、抜けやミスは許されませんよね。
ですが、看護師も人間です。
そもそも私たちの脳自体「ミスを起こしやすいメカニズム」なので、どんなに注意してもミスや抜けを防ぐことは難しいでしょう。
しかも困ったことに、
「忘れた!」という単純な記憶ミスだけでなく、そのほかのミスも脳の記憶に原因があるのです。
つまり、あなたがどんなに頑張ろうともミスは防げません。
「ミスするのは仕方ないの?」「じゃあ、なんで先輩たちはミスは少ないの?」と思った人もいることでしょう。
脳のメカニズム上「ミスを起こしやすい」を理解していれば、最小限に抑えることも可能です。
そこでこの記事では、ミスがグンッと減る「明日できる解決方法」を紹介します。
仕事の抜けが多いから卒業するために、本記事のノウハウをぜひ活用してください。
最後まで読めば、「ミスの原因は経験不足」という考えは消え去っています。
この記事を書いているのは、みも。
健診クリニックで働く15年目の看護師です。
病棟時代、ある先輩に相談した内容が全スタッフに筒抜けになったほろ苦い経験あり、そんな先輩たちを反面教師にすると決意!
職場にいる先輩よりも「身近で信頼できる先輩」としてあなたの力になりたくて、このブログを立ち上げました。
詳しいプロフィールは【こちら】
仕事の抜けをなくすための考え方【まずは脳のメカニズムを知る】
「今日こそは、うっかりミスをしない。」
「いつも以上に気をつけなければ…」
こんな風に自分を追い込んでも仕事の抜けやミスは一向に無くなりません。
なぜなら…私たちは脳のメカニズム上「ミスをする生き物」だからです。
つまり、
脳のメカニズムを正しく理解し、それを踏まえた上で対策を打ちさえすれば、仕事の抜けやミスがほとんど防げます。
仕事の抜けが多くなる原因
今日、あなたが「忘れてた!」と血の気がサーッと引いたことは何だったか思い出してください。
「血糖測定せずに、配膳してしまった…」とか。
「(患者さんに)あとで行くと言ったのにすっかり忘れてた…」といったことではありませんか?
人は何でも忘れてしまう生き物なので、多重業務になればなるほど「仕事の抜け」が多くなってしまうことは誰でもあることです。
先ほども言いましたが、「人はもともと忘れる生き物」でしたよね。
「しっかり覚えた!」「忘れない…」と思っていても、脳は思いの外あっさり忘れてしまいます。
知っている方もいるかもしれませんが…
記憶に関する研究「エビングハウスの忘却曲線」をみてください。(下の表を参照↓)
20分後にはすでに42%を忘れ、1時間後には56%、1日後には74%を忘れる結果になっています。
意味のある情報や知識であれば、曲線はもう少し緩やかになるでしょう。
しかし、「覚えた!」と思った直後にその多くを急速に忘れてしまうという脳の性質は変わりません。
「脳はすぐに忘れていく」ということを、しっかり頭に叩き込んでおきましょう。
ワーキングメモリの容量がとても小さい
誰でも仕事中に「うっかり忘れる」経験をしているはず。
例えば、何か用事があって立ち上がり、異動している間にその用事を忘れてしまうことがありますよね。
こうした動作における記憶は、脳の「ワーキングメモリ(作業記憶)」という場所に一時的に保管されます。
ただし、このワーキングメモリは非常に容量が小さい上に、脳にしっかりと定着せずにほんの短い時間だけしか覚えていません。
別のことを思い浮かべたり、他のことをするだけで、簡単に直前の記憶が消えてしまい、消えたことすら気づかない場合もあるのです。
うわ〜、めちゃくちゃある!
昨日なんか内服確認するの忘れちゃった。
病室へ向かっている途中でプリセプターに「これやっといて!」と言われた瞬間、「あれ…何してたんだっけ?」と忘れてしまった…。
ワーキングメモリは増やせない
ワーキングメモリは、どんなにトレーニングを頑張っても増やせません。
人間の能力として限界があるからです。
最新の研究によると、ワーキングメモリが平行して処理できる情報は最大で7つ、平均すると5つ程度と言われています。
え…平均で5つ!
看護師って多重業務だよ。次はこれをしながら、同時にあれも…なんて考えるだけで、容量がいっぱいになっちゃう。
仕事の抜けを減らすには、ワーキングメモリの負荷を減らすことが重要なポイントになります。
うっかりミス、仕事の抜けがゼロになる「仕組み化」とは?
ここからは、仕事の抜けがゼロになる「仕組み化」について紹介します。
大事なことなので繰り返し言いますが、人はもともと忘れる生き物です。
記憶力がいい先輩は別に脳のつくりが高性能なわけではありません。
- 自分の記憶の限界はどれくらいか
- どういった状況のときに忘れやすいか
- 忘れないためにはどれくらい繰り返したらいいか
といった「自分の脳の習性」を知った上で対策をしているだけ。
仕事の抜けが多い看護師さんが考えるべきは、「どうやったら忘れないようになるか」ではなく、「どうやったら忘れっぽい自分をカバーできるか」なのです。
どうやったら忘れないか…を日々考えていて、着眼点を変える発想はなかったな〜。
「覚えておかなきゃ」と思うこと自体がワーキングメモリの無駄遣いだし、仕事の非効率の要因になっています。
仕事の抜けが多い看護師さんの共通点だよね。
(グサリッ!)
忘れっぽい自分をカバーする「仕組み」を作る方法
ワーキングメモリの負担を減らして、忘れっぽい自分をカバーするために一番有効なのが「メモ」です。
ワーキングメモリは短期的に記憶を保存するだけでなく、作業台としての役目もあります。
覚えておかないといけない量が増えるほど作業台が狭くなり、複雑な情報処理ができません。
その点、メモに残しておけば、即座にワーキングメモリを開放できるので、仕事の精度やスピードも上がるのです。
また、もっとも簡単な方法は、「その場ですぐにやってしまう」こと。
忘れないうちに用事を終わらせることができれば、ワーキングメモリに一時的に保存する必要も、メモをとっておく必要もありません。
ただし、看護師の場合、多重業務が多く、その場ですぐにできないケースもよくありますよね。
すぐにできることは後回しにしない。
その場でできないならメモしておくってことでいい?
それだと…完全に仕事の抜けは減らないかも。
ナースコールの対応をしながら、時間が決まった処置とか、ドクターが来たタイミングで指示内容の確認とか…ワチャーってならない?
テンパると、仕事が抜けてしまいます…。
仕事の抜けが多い看護師さんこそ、「ワークーシート」を活用するのがおすすめ。
受け持ち患者さんの情報収集しながらワークシートを記入すれば、1日の自分の仕事(行動)が見えてくるよ。
①終わった処置やケアは斜線で消す
②やることが増えたら、ワークシートに追加する
③休憩前と勤務終了前に必ずチェックする
この3つのことも仕組み化すれば、仕事の抜けを完全になくすことができるはず。
ワークシートの書き方に正解はなありません。
大切なことは、自分のルールを決めることです。
例えば、イベント(血糖測定や体重測定など)や検査、オペ出しはマーカーを使って目立たせるなど。
キレイに書くことよりも、自分がパッとみて分かるワークシートにすることが、仕事の抜けを減らし効率よく仕事ができるのです。
もし優先順位の付け方が苦手でうまくワークシートが書けないのであれば、【こうすれば先輩をイラッとさせない!優先順位の付け方】を参考にしてみてくださいね。
仕事の抜けが多くて辞めたいときの判断基準
仕事を辞めるべきか、辞めないべきかの判断基準を紹介します。
自分に非がある
自分の非で仕事の抜けが多い場合は、まだ辞め時ではありません。
- メモを取っていない
- ワークシートを活用していない
- その場ですぐにやらない
など、改善の余地があるので、忘れっぽい自分をカバーする仕組みを作りましょう。
それでも仕事の抜けが減らないなら、今の職場が合っていないかもしれません。
職場環境が悪い
職場環境が悪い場合は、転職を考えてみてもいいかも!
- 上司やプリセプターの教え方が悪い
- PNSのパワハラやイジメがある
- マニュアルがない
- ミスをしたら怒鳴られる
もしミスが起きやすい環境なら、どんなに努力しても改善できません。
今の職場で「自分の居場所」ってある?
仕事で抜けが多いと、プリセプターをはじめ、周りから白い目で見られますよね。
陰口を言われたり、無視されたり、いじめのターゲットとなることも。
相談できる上司や先輩、同期がいれば、ストレスを抱えることなく働くことはできるでしょう。
ですが、1人もいなければ、転職を検討したほうがいいと思います。
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まとめ
仕事で「抜けがあった…!」と気づくのは、いつも後になっていから。
今起こしているミスが何であれ、自分自身はそのことに気づかないと言うのが、ミスの厄介なところです。
だとしたら、「ミスはしない…」「仕事で抜けなんて起こさない」と信じ込むよりも、「ミスするもの」「抜けるもの」と素直に認めればいいと思いませんか?
ただ、私たちは経験を積むごとにプライドが高くなり、ミスを認めず、自分の正しさを信じたくなってしまうのです。
ミスを認めずに、受入れないと、それはさらに大きなミスとなって跳ね返ってくることになるでしょう。
この記事では、脳のメカニズムまでさかのぼって仕事の抜けが起きる原因を紹介しました。
ちゃんと読んだ方なら、ミスすることを受け入れ、仕事の抜けを絶対になくすためのスタートラインに立てれたはずです。
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