はぁ〜〜〜〜ァ。
何か困っていることでもあるの?
実は…今の病院を辞めようか相談したら、「とりあえず3年は働いたほうがいい」ってアドバイスされて…。
まだ1年目だし、もう少し我慢したほうがいいのでしょうか。
たしかに、新人ナースが辞めようとするときの決り文句だよね。
でもね、実は…この3年に明確な根拠ってないんだよな〜。
では、なぜ3年働いた方がいいと言われるのか?
この記事では…
「とりあえず3年働いたほうがいい」の本当の意味をわかり易く解説していこうと思います。
なぜ上司や先輩、親が「とりあえず3年、頑張ってみよう」と言うのか?
3年に明確な根拠はないのに、看護師長や主任、プリセプター、親は口を揃えたように「3年働いたほうがいい」と言うのでしょうか?
その理由は次の5つが考えられます。
一人前の看護師になるまでに3年かかる
多くの病院では、卒後3年で看護師を一人前に育てる育成プログラムをベーシックとしています。
(クリニカル)ラダーのことだね!
「クリニカルラダーって何?」という人は、日本看護協会版「クリニカルラダー」をみてみよう↓
引用:日本看護協会
※病院ごとに育成プログラムは異なります。
だいたい3年で一人前の看護師になるように組まれているため、とくに上司たちは「とりあえずは3年」と言うのでしょう。
あ、でも…看護師長が引き留める本当の理由は、次のことかも…!?
看護師長の評価に影響?
看護師長の立場からすると、「少なくとも3年は働いてほしい」と思っていることが挙げられます。
というのも…3年以上働く人が増えると
- 教育コストを回収できるようになる
- 早期離職率が低下して、病院のイメージが良くなる
こんなメリットがあるからです。
つまり…病棟の責任者である看護師長の評価に影響するって訳。
3年未満で辞める看護師が多ければ、看護師長の評価はだだ下がりするので、退職を引き留めようとするんです。
石の上にも三年
諺があまり得意でない人も「石の上にも三年」という諺を聞いたことありますよね。
冷たい石の上でも、3年も座り続けていれば暖まってくる。
がまん強く辛抱すれば、必ず成功するたとえ。
他にも、「商い三年」「売り出し三年」など似た諺があります。
古くから何か成果を出すための時間の目安として「3年」が使われてきました。
まぁ、昔の人の知恵袋ってやつでしょうか。
退職金が出るタイミング
社会人になったら、全員に退職金が出ると思っていませんか?
残念ながら…入職して3年未満の場合は、退職金が出ない病院がほとんど。
退職するなら、せめて退職金をもらってから…と考える人も多いのでしょう。
転職で不利になると考えられていたから
どの病院も看護師不足は深刻です。
だからこそ、即戦力がほしい!と思っている病院も多いです。
そのため求人票に、3年以上の臨床経験と条件を入れている病院もあるのも事実。
とはいえ、3年未満でもたくさん求人はあるので、決して不利になるとは言い切れません。
「3年働いたほうがいい」本当の意味
「3年働いたほうがいい」は明確な根拠はありません。
しかし、3年以上働いていれば人生が安定しやすいというのも事実です。
実際に3年以上働いたメリットについて具体的に解説していきます!
印象がだいぶ変わる
3年働けば、職場の居心地は変化するでしょう。
新人のときは、休憩時間が苦痛に感じている人も多いはず。
自分の居場所なんて無いし、先輩たちの悪口を聞いているだけでもストレスです。
ゆっくり休憩できないなら、ご飯を食べるだけの時間だけでいいですよね。
しかし、3年経てば、先輩や同期たちとも打ち解けて、今感じている休憩中のストレスは感じないはず。
人間関係は時間が解決する
新人に対して冷たい先輩って病棟に1人や2人いるはず。
何かしたわけでもないのに、無視されたり、話かけても目も合わしてくれない…等など、モヤモヤしますよね。
その先輩との関係は、100%時間が解決します。
というのも、新人ってだけで冷たい態度をとっているからです。
後輩ができたり、仕事ができるようになると態度がコロッと変わります。
理不尽に怒られることも、インシデントしても必要以上に責められることもなくなるでしょう。
「3年」に縛られる必要のない人
ここからは、「3年」に縛られる必要のない看護師を紹介します。
3年未満で辞めても、明確な理由があれば転職で不利になることはありません。
「第二新卒」の枠も利用すれば、今よりも教育制度のいい病院だって見つかります。
もし当てはまるなら、転職について前向きに考えてみましょう。
劣悪な労働環境で働いている人
連日のサービス残業、長時間労働、無茶なシフトなど、どうにもできない劣悪な労働環境はあなたの心身によくありません。
体も心もズタボロになるだけ。
最悪の場合、それが原因で病気になることだってあります。
自分の身は自分で守りましょう。
ハラスメントを受けている人
パワハラをされるのは、あなたが悪いわけではありません。
理不尽なことに巻き込まれた当事者にすぎないので、我慢しなくていいんです。
自分の身を守ることを最優先にしてくださいね。
やりたいことが明確な人
病棟でしか学べないこともあります。
しかし、それがあなたの看護師人生に本当に役に立つかは…正直微妙です。
病棟でバリバリ働きたい、認定看護師になりたいとか…なら、その道を極めてもいいでしょう。
しかし、もし将来クリニックや施設で働きたいと思っているなら、
将来どんな働き方をしたいのか…で求められる看護スキルや知識量は変わります。
あった方がいいかもしれないけど、案外…採血と点滴、注射ができるだけでも看護師として働き口はたくさんある!
もしやりたいことがあるなら、なるべく早くに行動するのがいいでしょう。
新しいことに挑戦できるのは、若いうちのほうがチャンスが多いです!
「とりあえず3年」頑張ってみたほうがいい人
もしあなたが、以下のうち一つでも当てはまっていたら、3年頑張ってみたほうがいいかもしれません。
- 人間関係のいい職場で働きたい
- 病棟に不満はあるけど、病院には不満はない
これらの場合、転職では解決できないので、異動願いを出したほうがいいケースです。
人間関係のいい職場で働きたい
人間関係をリセットしたくて、転職する気持ち…とても分かります。
ですが、人間関係の良い職場を求めて転職することはオススメできません。
なぜなら、求人票や口コミ、面接では人間関係は分からないからです。
求人票にしても、病院のサイトにしても、
「人間関係のいい職場」
「アットホーム」
「先輩は優しく教えてくれて…」
わたしが今まで転職やバイトしてきた病院の公式サイトに、人間関係がいいなどと書いていましたが、何ひとつとして本当のことはありませんでした。
人に来てもらうために取り繕う。
当たり前ですよね。
どの病院も優秀な看護師に来てほしいんだから…。
例えば、「友達が働いていて、職場環境がいいよ」と聞いた。
それならまだ信ぴょう性があります。
もし、その友達と同じ病棟で働けるならいいかもしれません。
しかし、そうでないなら何の保証にもならない情報です。
その病棟は良くても、他の病棟は最悪かもしれません。
病棟に不満はあるけど、病院には不満はない
今あなたが働く病院の給料やボーナス、通勤のしやすさ、病院のトップ、経営方針に特に不満がない。
もしそう思っているなら、転職しないほうがいいです。
なぜなら、転職するほうがデメリットが大きいからです。
案外、自分の希望する条件にマッチする病院ってなかなか見つからないし、もしあっても採用されるとは限りません。
それに、転職すれば人間関係はゼロからだし、勝手も変わるなど、何かと大変なことだらけ。
その点、同じ病院なら、そういった変化やリスクをはるかに少なくて済むんです。
まずは異動してみて、それでも我慢できなければ転職したって遅くはないですよね。
まとめ
「3年働いたほうがいい」という言葉は決して間違いではありません。
すぐに逃げ出さずに耐えることも大切です。
しかし、逃げ出したからといって逃げ癖がつくとは思いません。
実際にわたしは、病棟を2年で働き、眼科クリニックで5日で辞めました。
一見、逃げ癖がついたかのように思えますが、その後呼吸器クリニックでは3年半、そして健診クリニックは8年も働いています。
ムリに「3年」と縛られる必要はありません。
時間は限りあるものだし、やる気のある・なしで吸収スピードは倍以上変わります。
どこで学ぶのではなく、学ぶ意思があればどこでだって学べるのです。
ムダな時間にするかは自分の決断次第。
自分らしいタイミングで、キャリアを選択しましょう。