看護師長に「退職したい!」と伝えたとき…
- やめたい人は、順番待ちしている
- 辞める場合、半年前に言う決まり
- 9月までに退職希望を出さないとダメ
- 人手不足だから辞められると困る
- 辞められたら、病棟が回らない
- 来年のスケジュールが決まっているから、いま退職を言われても…
と言われたことがある看護師は多いことでしょう。
本来であれば…
労働者が辞めたいと言えば拒否する権限は病院にはありません。
というか法律違反です!
それなのに希望する日に退職できず泣き寝入りする看護師は少なくありません。
そこでこの記事では、「退職したい看護師が知っておきたい法律」についてわかり易く解説していこうと思います。
・離職票を出してくれない
・有給消化を認めてくれない
…等、退職拒否に関わるトラブルの対処法もまとめているので、最後まで読めばもう退職で悩むことはないはずです。
看護師によくある退職トラブル|拒否されないために法律を知っておこう
日本国憲法で、「職業選択の自由」が保証されているので、病院側の都合で退職を拒否することができません。
また、民法で退職日の14日前に通告すれば退職できます。
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
引用元:民法第627条
ただし…
正社員の場合
あなたが正社員の場合、期間の定めのない雇用契約。
つまり、病院に対していつでも退職を申し入れることができる無期限雇用労働者です。
辞める場合は半年前に言う決まり。
年度で辞めれるのは3名まで。みんな順番待ちしているから。
などと言って退職を拒否する権限は病院にはないことは必ず覚えておきましょう。
最悪…
雇用は解約の申し入れの日から2週間を経過することで問答無用で雇用契約は終了します。
法律上では、退職拒否されようが申し入れ日から2週間経過していれば、辞めることが可能なんです。
契約・派遣社員の場合
あなたが契約・派遣社員の場合であれば、半年や1年と前もって契約しているはずです。
やむを得ない場合を除き、契約期間中に辞めることはできません。
ただし…
1年を超える契約で1年以上勤務していれば、2週間前に申し出れば退職ができます。
(やむを得ない事由による雇用の解除)
第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
引用元:民法第628条
第百三十七条 期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が一年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第十四条第一項各号に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成十五年法律第百四号)附則第三条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第六百二十八条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。
引用元:労働基準法第137条
退職を認めない病院に罰則規定ってあるの?
退職を拒否する権限ないのに「認めない!」っていう病院側はひどすぎるよ…。
認めない病院に対して罰則ってないの?
残念ながら直ちに罰則規定が適用することはありません。
暴力や脅迫などの犯罪行為を用いて労働を強制したような場合を除いては、通常のコミュニケーションが取れていれば何らかの法的責任を導くものではなし。
退職トラブルを回避するコツ
多くの看護師は、退職することを口頭で伝えるケースが多いです。
しかし、言った言わないなど後々トラブルに発展することがあるので、書面で伝えたほうがいいでしょう。
円満退職したいなら「退職願」を提出すればOK!
退職届と退職願の違いって何?
辞めたいときに退職届か辞表かで悩む人は少なくありません。
ドラマなどでよく見かける「辞表」は役職や公務員が使う書類です。
もし民間の病院勤務であれば「退職届」が正解!
なんですが、退職トラブルを回避するために提出するのは「退職届」ではなく「退職願」です。
なぜ「退職願」なのかは2つの違いを見ていきましょう。
「退職届」は後に必要となりますが、いま必要なのは言った言わないなどの退職トラブルを避ける方法です。
退職の意志を伝えずに「退職届」を渡せば、
はぁ〜!!退職の意志も伝えずに辞めさせろなんて非常識すぎる。
誤解を招いてしまい、円満退職できなくなるでしょう。
「退職届」にしても「退職願」でも病院は受け取りを拒否できるものではありませんが、普通に拒否してくることも。
そんなときは次の章で紹介する【退職を拒否されたときの対処法】で乗り切りましょう。
退職理由が原因で拒否されているケースも多いです。
その理由については【看護師が円満退職するコツ】で紹介しています。
引き止め対策としては、引き止められない退職理由を伝えるのが◎。おすすめの退職理由&例文は【こちら】
退職を拒否された場合、3つの対処法で乗り切ろう!
ここからは「退職願」を提出しても看護師長が受け取りを拒否した場合の対処法を詳しく解説していこうと思います。
まずは、退職したい看護師が知らないと困る「看護師の権利」を確認しておきましょう。
民法では、雇用の契約解除を申し入れた日から2週間が経過すれば退職できます。
一般的な退職の流れは、
①退職の意思表示(退職願)
②正式な退職手続き(退職届)
の順番です。
しかし、「意思表示(退職願)」の時点から拒否する病院は多いもの。
そんなときは、以下の対処方法があります。
- 「退職届」をメールor内容証明書郵便で送付する
- 労働基準監督署に相談する
- 弁護士に相談する
対処法①メールor内容証明書郵便で「退職届」を送付する
正社員であるあなたは辞めたいときにいつでも辞められる契約をしているということは先ほど言いました。
もし看護師長が「いま辞められたら病棟が回らなくなるのは分かるでしょ?」「残された人のことを考えて…」と脅してきても、あなたが気にする必要はありません。
受け取りを拒否できないのに「退職願」を受け取らないような看護師長とやり取りをしても強いストレスに感じるだけです。
客観的に退職の意思を病院に知らせる方法を取るのがスマートな対処法でしょう。
それがメールor内容証明書で「退職届」を送付する方法です。
もしあなたが働く病院に「労働組合」があるなら、内容証明を送る前に相談してみましょう。
対処法②労働基準監督署に相談する
それでも退職届を受理されない場合は、労働基準監督所に相談しましょう。
相談方法は、直接窓口へ行く方法のほか、電話での相談も可。
窓口での相談は、平日日中の開庁時間内に限られますが、夜間や土日にも「ほっとライン」での電話相談はできます。
ただし…
あくまでも指導しかなく個人の退職を保証してくれるわけではありません。
病院側は指導されたとしても何かしらの理由をつけて退職は認めない…というケースも多いです。
確実に退職できるわけではないと理解した上で相談するorしないを検討してみてください。
対処法③弁護士に相談する
「賠償金を払え!」や「給料を払わない!」など脅迫まがいの対応をとる病院もあります。
そういう場合は、一人で対応せずにプロである弁護士に相談しましょう。
ただし…
心強い味方ではあるのは確かなんですが、弁護士にお願いすれば退職するのに数万円の費用がかかります。
一人暮らしなどで給料がカツカツな看護師にとっては気軽に使えるものではありません。
そんなときに転職サイトを活用してみることをオススメします。
というのも、転職サイトを使って円満に解決できるかもしれないのです。
一部の転職サイトでは、退職の代行サービスがあって、本来であれば退職代行を使うような案件でもしっかりサポート。
つまり、お金をかけずに退職のトラブルを解決することが可能です。
ちなみに…
退職サポートまで安心して任せられる看護師転職サイトは次の2社↓
看護師の場合、ブラックな病院が多いので退職トラブルはよくあります。
もしものときのためにこの2つの転職サイトに登録しておくと心強いでしょう。
「辞める」という勇気がほしい方は、以下の記事が参考になります。
看護師がよくある退職トラブルの解決方法
ここからは、看護師がよくある退職トラブルの解決方法について紹介していこうと思います。
よくある退職トラブルは以下の通りです↓
- 退職希望日に辞められない
- 離職票を出してくれない
- 有給休暇を消化させてくれない
- 損害賠償を求められた
一つ一つ解説していきますね。
退職希望日に辞められない
はぁ…。
就業規則みたら「退職希望は、3ヶ月前に申告すること」って書いてあった〜。
年内中に辞めようと思っていたのに、あと3ヶ月も働かないとダメなのか…。
こんな風に就業規則通りじゃないと辞められないと勘違いしている看護師は多いです。
しかし、先ほども言いましたが、3ヶ月待たずにも退職することは可能です。
「民法第627条」により退職日の14日前に通告すれば退職できます。
3ヶ月待たずとも退職できるんだ!
あ…でも、就業規則は無視しちゃっても大丈夫なんですか?
それは大丈夫!
優先順位は、法令>労働協約>就業規則>労働契約なので、就業規則よりも民法のほうが優先されるべき項目です。
とはいえ…
看護師長や他のスタッフとギクシャクせずに退職できるか…は別の話です。
円満退職したい場合は、就業規則に則って対処したほうがいいですね。
離職票を出してくれない
失業手当もらいたいんだけど、離職票が必要なんだよね。
離職票をお願いしたのに出してくれない…。
退職を認めてくれない場合、病院が離職票を出してくれないといった嫌がらせをすることがあります。
失業保険の受け取りをさせないように圧力をかけてきて在職を強制させる手口です。
その場合は…
まずはハローワークに相談に行き、ハローワークから病院に離職票の発行を促してもらえば◎。
それでもダメなときはハローワークの職権のよって離職票を出してもらうことが可能です。
※労働者が被保険者でなくなったことの確認が取れたら交付して貰えます。
もし辞めたら失業保険っていくら貰えるのか知りたい方は、こちらで自動計算してみよう!
有給消化できない
有給があ5日残っているんだけど、退職日までに使わせてほしいとお願いしたけど却下された。
経験年数が浅い看護師や人手不足の現場では、有給消化を認めないケースもよくあります。
しかし、有給休暇は労働基準法によって労働者に認められた権利です。
働き方改革後、看護師の有給消化については少し改善されてきていますが、退職者に対して未だに使わせてくれない病院も多いですね。
そんなときは、労働基準監督署で労働相談してみるのも1つの手です。
相談する前に有給消化を申請して拒否られた証拠を残しておくことが、泣き寝入りしないポイント!
https://nurse-3.info/paid-holidays-3754
損害賠償を請求するって言われた
お礼奉公期間があと2年残ってるんだけど、辞めるって言ったら契約違反だ!違約金を払えって言われた…。
雇用契約などで労働契約に反したことを理由に違約金や損害賠償の予定をすることは禁じられています。
お礼奉公中であっても違約金を払う必要はありません。
最後に…
看護師長や主任に「退職したい!」と伝えたとき、病院が拒否する権限はありません。
しかし、法律を知らないことをいいことに、病院は退職したい看護師があたかも悪いような態度や対応をしてきます。
きちんと法律や対処法を知っておけば、泣き寝入りせずに対処できるはずです。
あと、退職したいときにブレない心を手に入れるためにも転職先が決まっているほうが◎。⇒【看護師転職サイトを「使う前」に知っておくべき重要ポイント8選】
円満退職したい人は以下の記事も参考にしましょう。