新人がどんどん辞めてしまう職場には、意外な共通点があることをご存知でしょうか。
この記事では、どんどん辞める職場の特徴7つをはじめ、その最悪の原因を明かしていこうと思います。
もしかしたらあなたの職場にもその要素が潜んでいるかもしれません。
本当に最近の新人看護師はヘタレ?【新人看護師の離職率の実態】
「最近の若い子は入ってもすぐ辞める。」
「我慢が足りない。」
「これだからゆとりは!」
どの職場にも、こんな決り文句を言う看護師っていますよね。
でも、本当にそうなんでしょうか?
看護協会は、毎年「病院看護・外来看護実態調査」を発表していて、最新結果によると新人看護師の離職率は8.2%です。
では、この数字は増えているのか、下のグラフを見てみましょう。
引用:病院看護職の離職率の推移
増減を繰り返してますが、ほぼ横ばい。
2005年からのデータしかないので、40代以上のベテラン看護師の「私たちのころは違った!」という主張ができる余地はあるものの、そこはわかりません。
グラフから読み取れることは…
約20年前から一貫して8%前後の離職率キープしているので、毎年20人に1〜2人は1年以内に病院を退職しているのです。
なぜか新人がどんどん辞める・定着しない職場の特徴
では、ここからはなぜか新人が新人がどんどん辞める職場の特徴を見ていきましょう。
特徴は次の7つあります↓
- 労働条件が従業員にとって不利
- 初日から不安を抱く第一印象
- 上司や先輩との間に壁
- 成長が実感できない
- 業務フローが曖昧で相談もしにくい
- 新人が辞めてもショックを受けず改善しようとしない
- 新人が潰れるくらいの業務量を任せている
何かしら対策を講じている職場であれば、改善の余地はあります。
ですが、危機感を持っていない職場は、転職を検討したほうがいいかもしれませんね。
【特徴1】労働条件が従業員にとって不利
誰もが給料が低い、残業が多い、休みが少ないなど従業員にとって不利な条件では働きたくありませんよね。
しかし、いわゆるブラック病院の「やりがい搾取」が問題になっています。
「患者さんのため」という病院側の巧妙な口車に乗らされて正当な賃金や休暇などの労働条件を満たしていないにも関わらず、やりがいを盾に不当に働かせるのです。
社会人経験のない新卒者の場合、「仕事とはこういうものだ」と思ってしまいます。
肉体的・精神的にダメージを受けていることに気づき同期や上司、先輩に助けを求めても「考えが甘い」とか「このくらいで弱音を吐いていたらどこでも通用しない」とピシャリと言われてしまうことも。
「もう少し頑張ればもっとやりがいを感じられる」と言われ抜け出せなくなる人もいるので要注意です。
自分自身ではよくわからなくなってしまった場合は、仕事とは関係ない友だちや家族などに相談し客観的な意見を聞いてみると良いでしょう。
【特徴2】初日から不安を抱える第一印象
初日に抱く第一印象は意外と後々まで残るもの。
イメージしやすくするために、数ヶ月前の初日を思い出してみてください。
不安で眠れなかったり、ドキドキ緊張したりしませんでしたか?
多くの人が、不安や緊張を抱えながら初日を迎えるため、小さな出来事でも精神的な大きなダメージになってしまいます。
たとえば私の場合は、目の笑っていない先輩に言われた「早くして!」という一言。
先輩たちマジ怖い…と思い、心開くことはできませんでしたね。
それが尾を引き、ほどなく職場を去ることになってしまうのです。
その点、定着率の良い職場では、業務で使う備品の準備や一日の段取り、スタッフへの情報共有などあらかじめしっかりとできています。
「この職場なら長くやっていけそう」と安心した気持ちでスタートできるのです。
【特徴3】上司や先輩との間に壁
先輩がいつも忙しそうで質問をしても回答までに時間がかかってしまうことってないですか?
こんな状態は、新人が先輩との壁を感じる大きな要因になります。
それに加え、回答自体が忘れられていたり、質問すること自体に難色を示されたりするような職場では苦痛がさらに大きくなってしまうでしょう。
先輩との壁を取り除くためには、余裕を持って働ける職場をつくり、相談やアドバイスがしやすいコミュニケーションの場を設けるのが重要です。
【特徴4】成長が実感できない
毎日同じ仕事が続いたり、成長する機会も得られないような職場環境だと、新人のやる気ってどうなると思いますか?
当然、新人のやる気も長くは続きません。
同じ仕事をモクモクと続けられるような人であれば苦痛に感じないかもしれません。
が、しかし!
ほとんどの人の場合、メリハリのない仕事は飽きてしまいがち。
その点、定着率の良い職場は、スキルアップや新しい仕事にチャレンジできる機会も多く、スタッフがやる気を持って働けるように工夫されてします。
ムリに新しい仕事にチャレンジさせる必要はありませんが、スタッフの希望に合わせて経験を積ませてあげるのも大切ってわけです。
【特徴5】業務フローが曖昧で相談もしにくい
業務フローが曖昧だと、新人がどのように仕事をするのかわからなくなってしまいます。
上司にとっても誰がどのように指示を出せばいいかわからないので、連絡も不十分になってしまいがち。
相談ができない状態では仕事がうまくいかず、業務も遅れ、スタッフ同士の雰囲気も悪くなってしまうでしょう。
役割もハッキリしていて、気軽に相談できる相手がいれば、新人も気軽に相談でき、問題解決もスムーズになるのです。
【特徴6】新人が辞めてもショックを受けず改善しようとしない
毎年、多くの新人が辞めてしまっているのに、まったく改善もしようとしない病院は要注意です。
というのも、
定着率の良い病院であれば、社員が病院を辞める事態が起きてしまった場合、原因を追求し改善を図るからです。
ところが、何の対策も取らない病院は、社員のことを軽んじている可能性が高く、働き続けるのは危険かもしれません。
社員を大事にしないような病院は、将来的に新人どころかベテランすら離れていってしまうでしょう。
【特徴7】新人が潰れるくらいの業務量を任せている
新人にも多くの仕事を体験させたいからといって、仕事を与えすぎるのもよくありません。
ベテランであればサラリと対処できる数でも、新人にとっては大きな負担となるからです。
また、わからないこともある中で、どんどん仕事をさせると新人が潰れてしまうケースも少なくありません。
仕事に慣れるまでには少しずつ仕事を与え、まずは業務を覚えてもらうのが先!
ノルマを求めるあまり、新人が倒れてしまっては、他のスタッフにも大きな負担を与える結果になりますよね?
新人看護師が定着しない理由【受け入れ側に問題あり】
結局のところ、
看護師の場合「新しい人材が定着しにくい」という職場は、新人の受け入れ体制の整備が必要だと考えます。
現場丸投げのOJT
多くの病院では、人材育成においては「OJT(On the Job Training)」と呼ばれる「現場で仕事を任せながら教育する」方法です。
ただ、どうでしょうか?
実際には以下のような「現場丸投げのOJT」がはびこっているのが現状ではないですか?
- 人事が看護師長に新人Aさんを預ける
- 看護師長がプリセプターに新人Aさんを預ける
- プリセプターが仕事を通してOJTする
「③プリセプターが仕事を通してOJTする」の成果を看護師長が振り返り、OJTのやり方を改善する…といったPDCAをしっかり回している組織もあるかもしれません。
ただ、実際には「新しく入った子、どう?」みたいな感じの雑談トークのレベルで終わり、現場に丸投げしたままのケースのほうが多いと想像されます。
これでは良い人材を育てることはできませんよね。
先輩の意識や考え方に大きく影響する
新人が職場に定着しないというのは、先輩の意識や考え方によるものも大きいでしょう。
先ほども言いましたが、
OJTのやり方は現場の看護師が決めるため、適切な指導を受けられるかは先輩次第になっています。
たとえば、教えるより自分がやったほうが早いと思っている人が多い場合だとどうですか?
新人は育ちませんよね。
「見たらわかるでしょ」や「見て覚えて」と言われる職場では、教えてくれてもメモも取れないくらいは早口で説明されたり、聞き返すとムスッとされて無視されたり。
「私も入ったときもそうだった。自分で頑張るしかない」と諭されることもあります。
また、先輩たちが変に結託していて、新しい人を寄せ付けない雰囲気を醸し出している職場も多くみられます。
いわゆる”新人いびり“を仕掛けてくる職場では、新人が定着するはずないですよね。
一方、定着率の良い職場では、プリセプターを中心にミーティングを開催して受け入れ体制を整えています。
新人との接し方のルールをチームで共有したり、コミュニケーションを取りやすくする環境を整えたり。
忙しい業務のなか先輩や新人のプロフィールシートを作成している病院もあります。
名前、プライベート写真、好きな食べ物、趣味、座右の銘…など、これらの情報を休憩室に張り出して共有。
「新人とどう接していいかわからない」という先輩は、意外と多いもの。
プロフィールシートの作成は、新人が先輩のことを覚えやすくなるだけでなく、先輩も新人がどんな人なのか知れてコミュニケーションが取りやすくなるのです。
このように新人の定着率には、受け入れ側の意識や考え方が大きく影響します。
すぐに改善できる点でもないため、どんどん新人が辞める職場なら一刻も早く抜け出したほうがいいでしょう。
「新人を辞めさせる人」がいるなら、尚更…。
新人を辞めさせる人=悪い人?意外な”あれ”が最悪原因だった
看護師の職場では、時々「新人を辞めさせる人」というのが存在します。
典型的な例としては、
新卒や中途で新しくやってきた看護師に対して必要以上に厳しく接したり、過度にマウントをとって指導したり、職場に居づらくして辞めさせるのです。(⇒関連:看護師いじめ)
いわゆる”新人いびり”のようなものをして、辞めるように仕向けます。
たとえば、
- 新人の教育と称して、必要以上に干渉、ミスの指摘や叱責をする
- 新人の失敗や能力不足を、周囲や上司に過剰に吹き込んで評判を落とす
- 新人の仕事っぷりについて、ことあるごとに本人にダメ出しする
- 同僚たちの輪に新人を入れず、「よそ者」扱いをする
これらはほんの一例ですが、こんな手口で新人を追い込み辞めさせるのです。
もちろん周囲から「新人を辞めさせる人」と認識されていて、ある程度問題視されているものの、異動やクビになるような決定的なものとは認識されていないケースがほとんど。
組織としての対応はなされず、放置されてしまいがち。
なんで?おかしい…と納得できない人もいると思いますが、
新人がどんどん辞めていく職場では、人手不足がかなり深刻なので、残念ながら当の「新人を辞めさせる人」さえも貴重な戦力です。
とはいえ、
「新人を辞めさせる人」として機能し続けるため、せっかく職場に入った新人たちはどんどん辞めていきます。
根本的な原因を解決をしない限り人手不足はずーっと解消されないので、新人を辞めさせる人を辞めさせるべき!と考える人も多いでしょう。
擁護するつもりはないし、新人いびりをしている人は大っキライですが、
それはちょっと違うと思います。
「新人を辞めさせている人」が、根本的な原因ではないからです。
その人をクビにしたり、異動させたりしても、別の人がすぐに新人を辞めさせる人に豹変する可能性があります。
今の体制のままでは…。
なぜかというと、
この最悪な状況を作っているのは、病棟の責任者である看護師長だからです。
新人を辞めさせる人って、
- 仕事ができる(あるいはそこそこできる)
- 勤続年数が長い
- 上司を味方につけるのがうまい
- 面倒見がいい
- 発言力がある
このように、ある程度職場での経験が豊富で、他人を指導するための基本的な知識を持ち合わせている人が大半。
上司とのパイプもしっかり持っているし、コミュニケーション能力も高いですよね。
ようは、「自分の地位を守るために新人を貶める」といった精神的な未熟だったり、
新人教育の重要性やせっかく入った新人が辞めることのリスクを理解していないだけの”あほな子”。
(決して見下していません。むしろ愛を込めて”あほ”を使っています。笑)
“あほな子”は頼られることに喜びを感じるため、
できない新人を一人前に育て上げることで組織への貢献になり、自分の価値を高めることにつながることを理解してもらえば、意外と新人教育に本気で取り組んでくれます。
「〇〇さんが粘り強く新人を育ててくれると助かる」
「〇〇さんなら新人が辞めない程度に上手に指導できると思う」
上司がちゃんと働きかけさえすれば動いてくれので、怠ったことが最悪の状況を作り出しています。
つまり…
見てみぬふりをして放置した上司が新人を潰すモンスターを育てているってわけです。
過去に動いてダメだったと反論する看護師長もいるかもしれませんが、
手に負えないなら、新人を辞めさす人と仲良しのスタッフにお願いしたり、異動させたりする方法だってあるはず。
新人も新人を辞めさせる人も両方ダメにしていることから、真の元凶は放置している管理職です。
管理職がガラリと変わらない限り、今の職場は良くなることはないでしょう。
仕事が続かないことを自分自身に原因があると思い込む人の末路
仕事が続かないのは、職場に原因があることが多いにも関わらず、自分自身に原因があると思い込んでしまう人もいます。
自分自身にも原因があると思いこんでしまうと、いくら自己改善したとしても意味がありません。
だって大抵の場合、不運にも仕事が続かない職場を選んでしまっているだけだからです。
その病院で働いたことがなければ、その職場がどのようなものか推察することって難しいですよね?
しかし、なかには自分に原因があると思い自分を責めてしまい、必要な準備もできず転職してしまう人もいます。
そして不運にも再び「仕事が続かない職場」の病院に入ってしまい、またすぐ辞めるというような負のループに陥ってしまうのです。
こうして職歴が荒れてしまい、すぐに辞める人というレッテルを貼られ、どんどん転職の可能性が潰れていきます。
誰かに相談してみよう
「もう辞めたい…」と思ったときは、どうか1人で抱え込まないで。
落ち込んだときは、1人で考えるとネガティブな思考に陥りがちだし、視野が狭くなりやすいので、誰かに手伝ってもらうのがいいでしょう。
職場の人に話しにくければ、転職サービスへの相談もOK。
転職のプロが「転職したほうが良いか」からアドバイスしてくれますよ。
ちなみに、
私が利用した看護師転職サイトの中で「じっくり話を聞いてくれたベスト3」は
焦って決めた転職はのちのち後悔する可能性があります。
「辞めたい」という気持ちでいっぱいなときこそ、いったん落ち着いてみる時間を作るためにもプロの相談がオススメです。
【まとめ】新人がどんどん辞めるつらい職場からはさっさと逃げよう
「新卒として入社をしたものの、いつも雰囲気がどんよりしていて居心地が悪い…。」
「先輩や上司がいつもピリピリしていて精神的に疲れる…」
「好き嫌いがハッキリしていて感情的なやり取りをする先輩の対応がしんどい…」
なれない作業ばかりで余裕がないのに、心が休まるときがない職場であれば、「辞めたい」とか「逃げ出したい」という感情がわいてもおかしくはないでしょう。
というのも、新人が職場に定着しないというのは、先輩の意識や考え方によるものも大きいからです。
新人がどんどん辞める職場の大半は、職場に原因があります。
自分の保身のためや、新人がすぐ辞めることが当たり前になりすぎてしまい、そもそも重要な仕事を任せる気がなかったりなど、適切な指導を受けられません。
ようするに、このまま新人がどんどん辞めてく職場にいても成長は期待できないので、明るい未来はないってわけです。
今の職場に残るにしても、転職するにも、あなたがポジティブな気持ちで働ける選択をすることが一番!
ただ、転職する場合は、転職先が絞られるなどのリスクもあるので、業界をよく知る転職サービスへ相談することをオススメします。
同期がまだいる…は安心できない
新人がどんどん辞める職場の特徴に当てはまるけど、辞めたのは1人だけ。
「まだ大丈夫。」と安心しているなら危険かもしれません。
なぜなら、1年目で辞める人の多くは突然だからです。
新人が辞める兆候は以下のようなものがあります。
- 挨拶をしなくなる
- 報連相が減る
- 髪型や服装が変わる
- 意見を発言しない
- 上司や他社員を避ける
- 特定の仲間と一緒にいることが多い
- 仕事を残して帰る
- 遅刻や早退が目立つ
- 新しい業務への関心がない
- ミスをしても謝らない
しかし、同じ1年目でもシフト制なので毎日一緒ではないので、異変には気づきにくいもの。
それに辞めると決意した場合、前触れもなく突然です。
「辞めたい。辞めたい…。」が口癖の人はぜんぜん辞めないけど、退職を決断した瞬間からピタリと「辞めたい」は言わなくなる人がほとんど。
呪縛からの開放?というやつですかね。
余計に周りの人は異変に気づきにくくなるってわけです。
そもそも自分のことで精一杯で、同期を気にかける余裕なんてない人も多いでしょう。
新人がどんどん辞める職場の特徴に該当しているなら、早めに行動しておいたほうがいいかもしれませんね。