足での血圧測定の方法が知りたい!
血圧測定は、看護師が行う日常的な業務のひとつ。
腕での血圧測定が困難な患者の場合、足で血圧測定を行いますよね。
ところが、足での血圧測定は、腕での血圧測定に比べて技術的なスキルが必要です。
にもかからわず、どの看護技術本も「腕での血圧測定」しか記載していません。
「事前学習したいのにできない…。」
「先輩に調べてくるように言われたけど…」
こんなふうにお困りの看護師さんも多いはず。
そこでこの記事では、年に5回ほど「足での血圧測定」をしている現役ナースが解説していきます。
難易度が高めの足での血圧測定ですが、
新人看護師さんでも測れるように、実際に私が足で血圧を測るときのコツや注意点をわかりやすくイラスト多めでまとめています。
ぜひ、参考にしてくださいね。
✓1年目ナースに人気の記事ランキングTOP3
TOP1:シリンジ採血と真空管採血の違い
TOP2:訴えられないための採血による「しびれ」の対処法
TOP3:翼状針と直針の使い分け方法
足の血圧測定と同様、看護技術本に載っていない内容がランクインしています。
ぜひ参考にしてくださいね。⇒明日から使える「看護技術」の記事一覧
【測定部位】足の血圧は「3か所の動脈」で測定できる!
一般的には上腕部で血圧を測りますが、
麻痺や乳がんリンパ節切除、点滴中、シャントなどで上腕部で測定できない場合は大腿部か下腿部で測定します。
足の測定部位は3か所。
下腿(ふくらはぎ)にマンシェットを巻いて行う場合は、「足背動脈」または「後脛骨動脈」の2か所で測定できます。
大腿(太もも)にマンシェットを巻く場合は、「膝窩動脈」で測定しましょう。
大腿(太もも)の血圧は「膝窩動脈」で測る
下腿(太もも)で測定する場合は、膝のウラにある「膝窩動脈」で測定します。
測り方の手順は次の3ステップです↓
- 動脈の拍動をチェックする
- 太ももにマンシェットを巻く
- 「膝窩動脈」を聴診する
大腿(太もも)で測定する場合は、大腿用のマンシェットを使おう!
下腿(ふくらはぎ)の血圧は、「足背動脈」or「後脛骨動脈」で測る
下腿(ふくらはぎ)の血圧は、「足背動脈」と「後脛骨動脈」の2箇所で測定できます。
「足背動脈」で測る場合
さっきと同じく、下腿も血圧測定の手順は3ステップです↓
- 動脈の拍動をチェック
- ふくらはぎにマンシェットを巻く
- 「足背動脈」を聴診する
「後脛骨動脈」で測る場合
- 動脈の拍動をチェック
- ふくらはぎにマンシェットを巻く
- 「後脛骨動脈」を聴診する
下腿(ふくらはぎ)で血圧測定する場合は、上腕用のマンシェットでOK。
つまり、普段どおりラウンドしても問題ないってことですね。
なぜ聞こえない…?うまく測れないときは、「基本」に戻ろう
動脈の位置さえ押さえておけば簡単に行える腕での血圧測定とは違って、足での血圧測定は、より技術的なスキルが必要です。
つまり、動脈の位置を押さえても「聞こえない…」と困る看護師は多いってこと。
じゃあ、うまく測れないときは、どうしたらいいのでしょうか。
うまく測れないという方は、まずは「血圧測定の基本」に戻ってみてください。
看護学生のときからずーっと血圧測定をしてきた私たちですが、足の血圧がうまくできない人のほとんどが「基本ができていない」ことが原因です。
血圧測定の基本は3つあります。
- マンシェットを巻く位置
- マンシェットを巻く強さ
- マンシェットを巻く高さ
エビデンスを元に詳しく解説していきます。
マンシェットを巻く位置
うまく測れない場合は、「マンシェットの巻く位置」を見直してみましょう。
マンシェットを巻く際、気をつけることは以下の2つ↓
- ゴム嚢の中央に「動脈」が真上にくるように巻く
- マンシェット下縁が関節の2〜3cm上方になるように巻く
動脈に均等な圧がかからなくなったり、聴診器にマンシェットに触れて雑音が生じてしまう可能性があります。
足の動脈が、腕の血管に比べて細く、深い位置にある脈拍が感じにくいです。
測定前には必ず「拍動をチェック」したうえで、マンシェットを巻くようにしよう。
マンシェットを巻く強さ
マンシェットの位置を見直してもうまく測れない場合は、マンシェットの巻く強さがきつすぎる可能性があります。
また、測定値にも影響してしまいます。
収縮期圧(最高血圧)は低く、拡張期圧(最低血圧)は高めに出てしまい、血圧測定が不正確になるのです。
足での血圧測定は、締め付けが強くなりがち。
マンシェットは、腕の隙間に指が2本くらい入る強さで巻くのがポイントだよ!
マンシェットを巻く高さ
マンシェットの巻く位置、強さに気をつけてもうまく測れない…。
そもそも「心臓の高さ」で測定できていますか?
足の血圧測定には、患者の体勢が大きく影響します。
心臓の位置と1cmズレたら測定値が0.78mmHg変わると言われています。
正しく測るためにも心臓とマンシェットの位置をあわせて測定しましょう。
看護技術本の中で、「血圧測定」のことが一番くわしいのはこれ↓
「看護がみえる③」です。
他の本では、血圧については1〜2ページほど。
でも、この本は15ページにかけて、「聴診法」と「触診法」の手順を写真付きで詳しく解説しています。
血圧の基本をとことん学べるから、先輩や指導者にツッコまれても安心。
看護学生さん、新人ナースは、必ずチェックしておこう!
【要チェック】足で血圧測定する際の注意点は3つ!
足で血圧を測る際、注意点があります。
実際に足で測定する前に気をつけておくべきことは次の3つです↓
- まず拍動があるか確認する
- 前に測定者がいれば同じ部位で測定する
- 大腿部で測定する場合は、専用マンシェットが必要
注意点について詳しく解説していきます!
しっかり拍動があることを確認
下肢の血圧測定は、苦戦するナースは少なくありません。
というのも、膝窩動脈や後脛骨動脈、足背動脈を聴診する機会がないからです。
まずは触診して、しっかり拍動があるかをチェックしましょう。
下肢の動脈チェック方法が不安…という人は、下のイラストを参考にしてみて↓
前に測定者がいれば同じ部位を選ぶ
バイタルの変化は患者さんの状況をみる上で重要です。
測定部位によって値が変わることがあるため、もしあなたの前に他の看護師が血圧測定しているなら、同じ部位で測りましょう。
とくに足の血圧測定は、測定値のばらつきが大きいです。
カルテに「測定した部位」をしっかり記載することはもちろん、申し送り時に口頭で伝えておくと安心です。
大腿部で測定する場合は、専用マンシェットが必要
大腿(太もも)で血圧を測る場合は、幅の広いマンシェットを使用する必要があります。
というのも、マンシェットの幅が足に対して狭いと収縮期圧(最高血圧)は高い傾向に現れるからです。
なんで収縮期圧(最高血圧)が高くなるの?
幅が狭いマンシェットだと、動脈を圧迫する面積が小さくなり、幅の広いマンシェットよりも多く圧を加えなくてはなりません。
また、マンシェットの圧を抜く際、幅の広いマンシェットよりも早く血流が開放されます。
通常よりも早い段階でコルトコフ音が早く聞こえてしまい、最高血圧が高くなってしまうのです。
ちなみに、マンシェット幅はJIS規格で決まっています。
マンシェットの幅 | |
成人(上腕用) | 14cm |
成人(下肢用) | 18cm |
大腿(太もも)で測定する場合は、大腿直径より20%広いものとし、大腿用マンシェット(幅20cm、長さ42cm)を使いましょう。
とはいえ、大腿(太もも)は実践向きではありません。
わざわざマンシェットを変えたり、羞恥心を考えれば、下肢で血圧測定する場合「足背動脈」ですることが多いです。
ちなみに、下腿(ふくらはぎ)で血圧測定する場合は、上腕用のものでOK。(幅13〜17cm、長さが24〜32cm)
【まとめ】
足での血圧測定は、一般的な血圧測定と比べて技術的なスキルが必要となるため、看護師にとっては負担が大きい場合もあります。
そのため、足での血圧測定を行う場合には、正確な情報を得るためにも正しい場所での測定が必要不可欠です。
ということで、最後にもう一度、看護技術本でくわしく解説されていない「足の血圧測定のやり方」を振り返っておきましょう。
麻痺や乳がんリンパ節切除、点滴中、シャントなどで上腕部で測定できない場合、足で血圧測定を行います。
下肢の血圧測定できる部位は、
- 「太もも」で測定するとき→「膝窩動脈」
- 「ふくらはぎ」で測定するとき→「足背動脈」or「後脛骨動脈」
の3か所。
この中で実際によく行われる部位は、「足背動脈」です。
(※もし、あなたの前に測定者がいれば、同じ部位で測定しましょう。)
まずは拍動を確認し、ゴム嚢の中央が「足背動脈」の真上にくるようにマンシェットを巻きます。
聴診器を皮膚にしっかり密着させてカフを加圧すればOK。
ただし、ASO(下肢閉塞性動脈硬化症)の患者さんは、足の血圧測定に不向きです。
足に血を送る動脈が詰まってきて血の巡りが悪くなり、足の甲で触れる脈が弱く、通常よりも血圧が低くなります。
その場合、病院(病棟)によって対処法が異なるため、一概に言えません。先輩たちはどの部位でどのように測定しているか聞いてみましょう。
足で血圧測定する場合、上腕に比べて測定値が+10〜20mmHg高くなります。
2つの理由についても押さえておくと報告がスムーズなるはずです。
✓1年目ナースに人気の記事ランキングTOP3
TOP1:シリンジ採血と真空管採血の違い
TOP2:訴えられないための採血による「しびれ」の対処法
TOP3:翼状針と直針の使い分け方法
足の血圧測定と同様、看護技術本に載っていない内容がランクインしています。
ぜひ参考にしてくださいね。⇒明日から使える「看護技術」の記事一覧