どうも、こんにちは。看護師のみもです。
今回は、「CRPとWBC」について解説します。
同じ炎症の指標ではあるものの、どう違うのか分かっていない新人ナースも多いはず。
実は私も新人時代よく分かっていなくて、先輩に突っ込まれて困った経験があります。
でも、ちゃんと理解できれば病態の理解が深まるし、どう看護していけばいいのかも見えてきます。
つまり、看護が楽しくなるってワケです。
そこでこの記事では、新人ナースに向けて「CRPとWBCの違い」について解説します。
図解やイラストを使ってわかりやすく解説しているので、ぜひ読んでくださいね。
新人看護師さんに人気記事ランキングTOP3
そもそも「CRP」「WBC」って何?
看護師なら知っていて当然なんですが、一応おさらいしておきましょう。
「CRP」とは?
CRPとは、C-reactive protein=C反応性蛋白のことです。
体内で炎症や組織の破壊が起きているときに、肝臓で作られるタンパク質。
炎症が起きると6〜8時間以内に急激に増加し、48〜72時間でピークに達し、炎症が改善すると正常値に戻ります。
「WBC」とは?
WBCとは、white blood cell=白血球のことです。
体内組織に侵入した最近やウィルスなどの異物に対して生体防御の働きを持ちます。
末梢血液中の白血球の50〜70%は好中球が占めているため、WBCの増減=好中球の変動と考えて◎。
ちなみに、白血球の種類って全部でいくつあったか覚えていますか?
覚えているという方も、忘れてしまったという方も、下の表でチェックしておきましょう。
なぜ「CRP」と「WBC」の数値がズレる?
では、いよいよ本題です。
CRPとWBCは、同じ炎症の指標ということは知っていると思います。
細菌やウィルスに感染すると、感染した部位で炎症が起きますよね。
ちなみに、炎症は、身体を守るために異物の侵入を防ぎ、組織を修復しようとする反応です。
炎症には、感染初期、ピーク期(極期)、感染後期があり、その時期や程度を見るために使用される採血項目がCRPとWBCってワケ。
CRPとWBCの数値がズレる原因
実は、CRPとWBCが急増するタイミングが異なるのです。
感染後、WBCは先に増加し、CRPは遅れて上昇します。
イメージしやすいように、体内に細菌が入ってきた場合のイラストを書いてみました。
①身体が感染、組織損傷が起こる
②受傷部に白血球が集まり、サイトカインを放出
※注意※
実際は白血球ではなく、「細胞」がサイトカインを分泌します。
③血液中に放出されたサイトカインに肝臓が反応
④肝臓で合成さたCRPは細菌の壁にくっついて白血球から見つけやすくする
肝臓でのCRP合成には、ある程度時間を要するため血中のCRP濃度が上昇するのは12時間後。
そのため、CRPとWBCの数値にはズレが生じるのです。
「CRP」と「WBC」を同時測定する理由
感染後、
WBCがより早期に増加し、CRPはWBCより遅れて上昇するので、感染の時期を推定することができますよね。
例えば、WBCのみが上昇していなければ感染初期です。
WBCもCRPも上昇していれば、ピーク期。
CPRのみが上昇していれば感染後期と判断できるってワケです。
CRPとWBCを同時に見る理由①
CRP上昇は、以下のときです。
- 細菌感染症
- ウィルス感染症
- 感染症以外の炎症
- 悪性腫瘍
- 心筋梗塞
- 外傷
- OP後
CRPは感染や組織損傷でしか上昇しません。
一方、WBC上昇は、以下のとき。
- 細菌感染症
- ウィルス感染
- 感染症以外の炎症
- 悪性腫瘍
- 膠原病
- 血液疾患
- アレルギー疾患
- 薬物投与
WBCは、特異的炎症マーカーとは言えません。
CRPとWBCを同時に見る理由②
CRPの上昇度合いから、細菌感染とウィルス感染の鑑別もできます。
というのも、細菌感染ではCRPは上昇しますが、ウィルス感染では細菌感染ほど上昇しないという特徴があるのです。
CRPとWBCを同時に見る理由③
重症感染症の場合、白血球の供給より消費が上回るため、WBCは減少を示します。
このように、
CRPとWBCの比較によって「感染の時期」を推測できるのです。
最後に
先輩がCRPとWBCの関係性を聞いてくるのは、
病態の理解を深めるために採血項目の関係性を理解できるようになってほしいと思っていたり。
採血結果は、基準値よりも高いか低いかだけを見るものではないと理解してほしいのです。
もし先輩ナースに聞かれたら、
両方とも炎症を示す項目ですが、上昇時期がWBCのほうが早く、CRPは遅れるのが特徴です。比較してみることで、患者さんの感染症の時期や程度を判断できます。
と答えましょう。
ちなみに、
WBCの基準値は、男性3,600〜9,000 /㎕、女性3,000〜7,8000 /㎕。
CRPは、通常はないものなので、0.3mg/dl以下です。