「生化学スピッツって、転倒混和するの?」
「生化学スピッツ内の薬剤は、凝固促進剤だから、混ぜなくてもいいよね?」
こんなふうに生化学スピッツの転倒混和で悩んでいませんか?
採血データは、
スピッツの入れる順番はもちろん、転倒混和のやり方でも大きく変動するため、正しく行うことが求められます。
ただ、「スピッツ内の薬剤を混ぜるため」と勘違いしている場合、正しく転倒混和できていない可能性が高いでしょう。
そこでこの記事では、「採血スピッツの転倒混和」について紹介します。
生化学スピッツの転倒混和について自信をもって答えられない看護師さんは、ぜひ最後まで読んでくださいね。
採血後、すみやかに転倒混和する理由
まず絶対に押さえておきたいのが、「採血後の転倒混和する理由」です。
あなたも知っているとおり、
スピッツ内の薬剤と血液を十分に混和させる必要があるから。
注射や採血、点滴などのやり方が載っている「看護がみえる②」の13ページにもしっかり書かれています。
あれ…?
それじゃあ、冒頭で言った「勘違い」とは何なのか?
スピッツ内の薬剤に対しての認識に勘違いがあります。
「凝固促進剤」に関する間違った思い込み。
採血後、転倒混和する理由は、
スピッツ内の薬剤と血液を十分に混和させる必要があるからです。
その”薬剤“が、白い粉とか液体だけと思っていませんか?
ちなみに、
スピッツ内の主な薬剤は5パターンあります。
「そんなにあった…?」と焦った看護師さんのために、
簡単にスピッツ内の薬剤をまとめておきますね。
- 生化学スピッツ:半透明のゼリーの血清分離剤+フィルムの凝固促進剤
- 血算・血液型スピッツ:白い粉の抗凝固剤
- 凝固・赤沈スピッツ:透明な液体の抗凝固剤。
- ヘパリンナトリウムのスピッツ:フィルムの抗凝固剤
※詳しくは「スピッツの入れる順番」をご覧ください。
ちょっと話が逸れてしまいましたが、
スピッツ内の薬剤で1つだけ仲間ハズレがあります。
それが、生化学スピッツの「凝固促進剤」です。
凝固促進剤なので一見
「混ぜる必要はない」「放ったらかしでも問題ない」と思ってしまう人も少なくありません。
それが生化学スピッツの残念な勘違いです。
凝固促進剤であっても、
生化学スピッツも5回程度、確実に転倒混和する必要があります。
以下の写真、SRL総合検査案内の「検体の取り扱い方法」をみてください↓
採血した後、4〜5回静かに転倒混和してください、と書かれていますよね。
理由はいくつかありますが、
スピッツの内面にも凝固促進剤が塗られているため、転倒混和しないと不均一になってしまうからです。
引用:済生会栗橋病院
時短短縮のために用いる凝固促進剤ですが、誤った使用方法によって再遠心が必要となり、かえって結果が遅延する原因となります。
生化学スピッツも、採血後は必ず転倒混和しましょう。
最後に|薬剤が入っているスピッツは確実に転倒混和しよう
「スピッツ内の薬剤と血液を十分に混和させる必要がある」
そう理解していても、「抗凝固剤」だけと思ってしまうのも当然です。
実際に凝固スピッツなどで転倒混和が不十分で取り直しとなることもあります。
また、先輩から「抗凝固剤が入ったスピッツは確実に転倒混和」と教えられますが、生化学スピッツに関してはスルーされることがほとんど。
こういった状況が原因で、「生化学スピッツは転倒混和しなくてもいい」と勘違いしやすくなってしまうのでしょう。
とはいえ、
スピッツ内の薬剤に例外はなく、「凝固促進剤」も含まれることは覚えておいてくださいね。