ゲームで例えると、「退職交渉」はボス戦です。
雑魚キャラのように行き当たりばったりでは倒すのはムリ。
武器や防具、アイテム、メンバー構成、戦い方…などなど、念入りに戦略を立てなくてはなりません。
転職する場合、まず転職先を探すことや、履歴書や面接に気持ちが向きがちですよね。
たしかに、新しく雇用関係となる「転職先の病院」を最重視したくなります。
しかし、看護師の転職では退職交渉においてトラブルになってしまうことが多く、現職へ転職を伝える際には注意が必要です。
そこでこの記事では、スムーズに転職するための退職交渉の流れや注意点、引き止めにあった際の対処法など詳しく解説します。
この記事を書いているのは現役ナースの「みも」です。
新人看護師さんや看護学生さんの
考える・見直す・はじめる、そんなきっかけになればと思い当ブログを運営しています。
最終目標は、あなたのQOLを爆上げすること。
もっと私のプロフィールが詳しく知りたい方は、こちらを参照してください。
/こんな記事も書いてほしいなどのリクエストもあると嬉しいです。\
退職交渉とは?
転職先が決定したら、現職の直属上司に退職の意思を伝えます。
退職するためには、退職日や仕事の引き継ぎスケジュールなど様々なことを決めていかなくてはなりません。
それらの詳細を現職の病院と交渉するのが退職交渉です。
転職先から内定がもらえたらホッとしちゃいますが、転職が決定したワケではありません。
今いる病院をきちんと退職し、新しく転職先の病院に入職することができた時点で転職できたと捉えましょう。
病院を辞める際にはトラブルが起きやすいため退職交渉は重要です。
転職先の病院から内定がもらえることが転職のゴールではないということは念頭に入れておきましょう。
転職活動をスタートさせたら、常に「退職交渉」を意識しておこう
転職活動を始める際、退職交渉があることを常に意識しておくことをオススメします。
以前の記事【転職活動にかかる期間はどれくらい?】でも言いましたが、
看護師の転職はトントン拍子で進むため、転職交渉がうまくいかず退職に時間がとられてしまう場合が多いのです。
円満退職できれば問題ありませんが、看護師の職場はどこも人手不足。看護師1人の退職が与える影響が大きいため反対されがちです。
また、それまで自分が行ってきた業務を引き継いでもらったり、有給消化する必要も出てくるため多方面での調整が必要です。
転職することは個人の自由といっても、大なり小なり現職の職場に迷惑や負担がかかります。
自分のことばかりではなく、現職の職場への配慮も行うのが社会人としてのマナー。
自分の希望も通しつつ、極力退職交渉がこじれないように心がけましょう。
【退職交渉の流れ】退職交渉は、転職活動最大の難関?!
看護師の場合、退職は新しいところへ入職するよりも大変と聞いたことある人もいるはず。
人手不足の病院も多く、強烈な引き止めにあうことが予想されます。
そんな場合でも、気持ちよく円満退職できるために、しっかり事前準備をして乗り切りましょう。
ステップ1:就業規則の確認
法律では、退職日の2週間前までに退職の意思を伝えればOKです。
しかし、実際はもっと前から伝えておかないと、揉めてしまうし、辞めにくくなる可能性があります。
多くの病院では「退職日の◯ヶ月以上前」「退職予定者は毎年夏の面談で申し出ること」といった独自の就業規則を用意していることがほとんど。
まずは病院側の規則を確認してから、動き出すタイミングをはかりましょう!
ステップ2:退職の意思表示
就業規則に反していなければ、まずは直属の上司に退職したい旨を口頭で伝えます。
その後は勤め先の病院にもよりますが、看護部長との面談を経て、事務長面談へと進むのが一般的です。
ポイントは、味方を作ること!
まずは一番関わりがあった直属の上司に相談を持ちかけてみましょう。
間違ってもいきなり退職願を叩きつけるのはNGです。
報告の際には、退職理由を聞かれることが多いですが、たとえ退職理由が現職の病院の不満であっても濁すのが無難ですよ。
ステップ3:退職日の決定、引き継ぎの計画の相談
退職に関する決まりごとが就業規則にある場合、よほどの事情がない限りはそれに従いましょう。
とくに定められていなくても、引き継ぎや職場への配慮、シフトの都合から、余裕をもったスケジュールを立てるのが◎。
有給が残っている場合は、計画的に消化できるように調整します。
繁忙期に有給をまとめてとるのは、非常識な行動でひんしゅくを買います。現職の職場に迷惑がかからないように消化しましょう。
ステップ4:退職願の作成・提出
退職日が決まったら、すみやかに退職願を作成します。
提出の際は、上司へ直接手渡しが原則です。
看護師長に不在なのに、夜勤明け、残業後に机の上にポンと置いてきたり、誰かに頼んだりするのはマナー違反。
ステップ5:後任者への引き継ぎ
あなただけが行っていた業務や委員会がある場合は、後任者に引き継ぎましょう。
引き継ぐ際は、相手に少しでも不安を与えないようにすることが大切です。
マニュアルを作成しておくなど、念には念を入れておくことをオススメします。
というのも、
中途半端な引き継ぎだと、退職後に電話で確認される可能性があるからです。
余計なストレスを作らないためにも、しっかり引き継ぎましょう。
ステップ6:荷物の整理・備品の返却
大々的に荷物の整理を始めるのは、早くでも前日から。
一般的には最終日に周りの様子を伺いながら片付けるのがマナーです。
とはいえ、1日ではとても終わりそうにない場合は、1週間前からひっそりと始めておくと◎。
ちなみに、ロッカーの荷物は思った以上に溜まっています。
勉強会でもらった資料とか、参考書とか。
私が退職するときは、退職する1ヶ月くらい前からちょっとずつ整理していきましたよ。
退職にあたり、絶対返却しなければならないもの、次の職場に入るために受け取らなければならない書類があります。
返却・受け取り忘れで次の職場に迷惑をかけないためにも、以下をチェックしておきましょう。
【必ず返すもの一覧】
- 健康保険証
- 職員証
- 通勤定期券
- ユニフォーム
- ロッカーのカギ
【受け取るもの一覧】
- 雇用保険被保険者証
- 離職票
- 年金手帳(※病院が管理している場合のみ)
- 源泉徴収票
こんな場合は要注意!引き止めにあいやすい状況
退職交渉を行う際のトラブルで多いのが、現職の病院から引き止めにあって話がこじれてしまうパターン。
看護師の引き止めにあいやすい状況をまとめてみました。
現職の職場の看護師が人手不足
基本的に人手が不足している職場は、看護師1人の退職が与える影響が大きいので、反対されがちです。
「次が見つかるまで待って」「後任者を探すので◯月◯日まで待って」と言われることもあります。
常勤看護師が少ない職場
病院は、看護配置を維持するために、一定以上の看護師をキープしなければなりません。
しかし、パートや派遣看護師などの非常勤の場合、看護配置は1人とカウントされず、労働時間に応じて常勤看護師よりも少なくカウントされます。(0.3人とか0.5人など)
そのため、人数的に看護師はいても、常勤が少ない職場では、引き止められることがあるのです。
自分以外にも何人か辞める、産休や休職に入る人がいる
自分以外にも辞める人が複数人いたり、産休や休職に入る予定だと、人手不足が見込まれるため、引き止められやすくなります。
とくに4月は看護師が転職するピークの時期。
年度末の3月で辞める看護師は非常に多いため、退職の申請が遅れるとかなりの引き止めにあってしまうのです。
プリセプターや経験5年以上の中堅ナース
もしあなたが、中堅層のナースであれば、かなりの確率で引き止めにあうでしょう。
というのも、中堅層のナースは少なく代打がいないので、「新人への教育が終わるまでいてほしい」と引き止められます。
国公立や大学病院に務めていて、3月以外に退職する場合
国公立や大学病院では、年度末以外の時期に辞めようとすると強い引き止めにあいます。
なぜなら、病院規則や慣例で「年度末の3月までいるのが義務」とされているからです。
退職交渉トラブルの対処法
引き止めだけが退職交渉の難関ではありません。
ここでは、退職交渉時にありがちなピンチの解決法について紹介します。
退職日を延長されそうになった
退職することが無事に承諾されても、退職日の折り合いがつくとは限りません。
「退職するのは分かったけど、◯月いっぱいで辞めるのは厳しい…」と難色を示される場合もあります。
それは、勤務先が、次の人が見つかるまであなたにいてほしいと考えるからです。
どうにか退職の承諾が取れたワケですし、どうしてもその日までに辞めなければいけない事情がない限り、勤務先の提示した条件に従うほうが◎。
とはいえ、次の職場の入職日が決まっている場合は別です。
指定された日に入職できなくなってしまうと、内定が取り消されてしまうかもしれません。
「次の職場との兼ね合いもあって、退職日は変えれないです」とハッキリした態度で交渉しましょう。
交渉が難しい場合は、内定先に連絡し、入職時期をずらせないか相談しましょう。
退職する意思は譲らず、妥協できる部分は妥協するのがポイント。
「次の職場にお願いして、何とか1週間は後ろ倒しにしてもらうことができました」と、こちらがわも配慮しているところを見せれば、印象は随分変わるものです。
退職願を受け取ってもらえない
すでに話がついているはずだったのに、上司が受け取りを拒否することがあります。
その場合は、事務長に提出する旨を上司に報告した上で、直接事務長に渡しにいきましょう。
上司に退職願を渡しでも、その後なにも返答がない
「すぐに答えを出せないからいったん預からせていただきます」といって受け取ってもらえたものの、その後何も言ってこない。
退職話を避けてなかったことにしようとしている場合があります。
その場合は、「先日の件ですが…」とそれとなく聞いてみましょう。
法律的には、どんな理由があれ上司が受け取った時点で退職願の受理は成立していることになります。
転職先の病院について聞かれた
病院同士、どこでどう繋がっているのかわかりません。
転職後のトラブルに発展することも考えられるため、転職先の病院名は言わないのが原則です。
もし「どこに転職するの?」と聞かれたとしても、具体的なことは伏せつつ、特定されない程度で答えるのが◎。
内定後に転職取りやめはできる?現職にとどまることは可能?
内定をもらった後、内定辞退は可能です。
転職を病院に報告したことでさまざまな点が改善されたり、転職先に不安を感じて現職にとどまることもあります。
内定辞退をする場合は、できるだけ早く内定先に内定辞退の連絡を入れます。
連絡の際は、心証に影響するため、丁寧に対応することが条件です。
内定を辞退する理由は、相手が納得できるような内容を考えておくとスムーズに進められるでしょう。
もし看護師転職サイトを利用している場合は、内定辞退は看護師転職サイトに伝えればOK。
現職にとどまることができるかは、退職願を受け取って承認しているかが焦点となります。
承認前であれば、退職を取り下げることは可能です。
病院からの引き止め交渉などがなく、病院が承認してしまった場合には撤回が難しくなります。
退職の届け出を取り消すには、病院側と話し合いを持ち、病院側の同意を得ることが必要です。
退職願を提出する際には、現職にとどまる可能性も考慮して慎重に判断しましょう。
退職を辞めた場合、その後職場で立場が弱くなったり、居心地が悪くなるケースもあります。
退職意思を表示するということは、周囲の印象や評価などにも関わってくるため、本当に転職が最善なのかという冷静な状況判断が大切です。
退職交渉は、人と人。衝突しない方法を模索するのが成功の道
転職をする際には、現職の病院に退職の意思を伝える必要があります。
退職交渉は、タイミングや誰に最初に伝えるのかなど、守るべきマナーがあるので注意しましょう。
退職交渉時に、思わぬ引き止めにあうこともあります。
退職が承諾されず難航し、転職先の入職日を決めることができないといったトラブルも少なくありません。
退職交渉は、最終的には人と人。
引き止める側がどんな気持ちでいるのか、それを知った上で正面衝突しない方法を模索するのが成功の道です。
引き継ぎについて積極的に提案したり、上司の考えている不安要素に耳を傾けるなど、配慮できる部分だけでも協力的な態度をとりましょう。