あなたは「お給料は減ったとしても、生活リズムが良い環境へ移りたい!」と思ったことはありますか?
看護師の転職先として、「健診センター」は常に人気のある職場のひとつ。
その理由として、
- 夜勤がない
- 限られた時間内の勤務
- 日曜・祝日、年末年始の休みが確保されている
- 採血や血圧など基本の看護スキルがあればいい
などが挙げられます。
身体的・精神的なストレスが少ないイメージがあり、「病棟よりも楽」と思っている方も多いはず。
しかし、実際に健診センターで働くと「イメージしていたものとは全然違う!」と感じてしまう看護師さんも少なくありません。
そのギャップを知っていれば、長く働くことができる職場を見つけられるでしょう。
そこで今回は、健診センターに興味のある看護師さんに向けて、検診センターで働いたら感じる3つのギャップについて紹介します。
【登場人物紹介】
杏ちゃん
急性期病棟で働く1年目看護師。看護師の仕事は好きだけど、病棟の人がイヤで「辞めたい」と思っている。とはいえ、新しい環境に飛び込むのも不安…。
亜子先輩
2回転職成功していて、楽しそうに働く7年目看護師。杏ちゃんがめちゃくちゃ頼りにしている先輩で、きわどい質問もバシバシ答えてくれる。
※中の人は現役看護師(15年目)です。
健診センターって、ぶっちゃけ病棟よりも楽!というイメージがあったけど、理想と現実のギャップが3つもあるんだ…。
でも、辞めたいとまでは、さすがに思わないよね?
いいえ、そのギャップのせいで辞める看護師さんも多いです。
健診センターで働く看護師の定着率って…、みんなが思っている以上に高くありません。
え…そうなの?
辞める人が少なくてレア求人と聞いたことあったから、てっきり定着率が高いんだと思ってた。
でも、それが違うのなら…。
健診センターで働いたら感じる3つのギャップについて、詳しく教えて下さい。
オッケー!
健診センターは、大きく分けて2タイプ!看護師の仕事内容が微妙に異なるよ
健診ナースといえば、「ひたすら採血をする」「50〜100人くらい採血をする」みたいなイメージない?
そのイメージしかないんですが、違うんですか?
違うこともあります。
というのも、健診センターは大きく分けて2タイプ。
「独立型」と「病院付属型」があって、看護師の仕事内容に多少の差が出てきます。
「独立型」の健診センターで働く場合、どんな仕事内容なんですか?
「独立型」の特徴は、健診センターのみで機能している施設。
レントゲン室や、内視鏡室、超音波検査など、健診に必要な検査機器類がすべて一つの建物内に集約しています。
午前中は主に採血業務が中心ですが、「医師の診察介助」「内視鏡介助」「保健指導」といった業務もこなし、午後は翌日の準備、健診結果のチェックなどを行います。
独立型の健診センターは、採血以外の仕事も結構あるんだね。
じゃあ、「病院付属型」の仕事内容は?
「病院付属型」の特徴は、総合病院の中にある診療科のひとつとして設置されていることです。
つまり、レントゲンとか、内視鏡、エコーなどは、外来や病棟と共有しているため、看護師が補佐する必要はありません。
また、午前中だけの健診であれば、午後は他部署の応援に行くこともあります。
あれ…どっちにしても「採血だけ」ではないのに、なんで「違うこともある」という言い方したの?
出張検診や、パートで働く場合、ひたすら採血だけをするケースもあるからです。
採血だけをしたくて健診センターを選ぶ看護師さんは要注意ってことだね。
一般的な健診項目は以下のとおり。
あくまでも健診施設によって検査内容は変わりますが、看護師はすべての検査について、目的や検査方法、検査時間は理解しておく必要があります。
- 身体測定
- 体重測定
- 血圧測定
- 採血
- 尿検査
- 心電図
- 視力・眼圧検査
- レントゲン撮影
- 聴力検査
- 内科診察
いわゆる人間ドックで行われているがん検査は、胃・肺・大腸・乳房・子宮の5箇所が対象です。
- 胃がん:バリウム検査or内視鏡検査
- 肺がん検査:喀痰検査、胸部X線検査
- 大腸がん検査:便検査、内視鏡検査
- 乳がん検査:マンモグラフィー、超音波検査、乳触検査
- 子宮頸がん検査:細胞診の検査
早期発見や予防に関する最新の技術を習得できる?
杏ちゃんが転職先を選ぶとき、どんな基準で選んでる?
夜勤がないとか、残業が少ないとか、日曜祝日が休みとか、そんな感じで選んでいるかな…。
3Kとか9Kと言われる看護師の仕事だからこそ、勤務条件はめちゃくちゃ大事だよね。
でも、「スキルアップできるかどうか?」でも選んでいない?
看護師さんって基本しっかり者だから、無意識に「スキルアップできるか」と考えてる人が多いよ。
あ…選んでいるかも!
健診センターで働けば、早期発見や予防に関する最新の技術を習得できるから、看護師としてもステップアップしたい人に人気なんです。
ただし、実際に働くとこの部分にもギャップが出てきます。
現実は、スキルアップできないってこと?
というよりも、忙しすぎてそれどころじゃないというのが本音。
健診者数が多いと100名以上いるので、採血にしても内視鏡介助にしても、さばくことに必死になってしまうのです。
そうだよね…。
それに加えて、健診センターの看護業務は、基本的にルーチンワークの繰り返しです。
新しい看護技術や医療に関する知識を得る機会がグンと減るため、スキルアップできないと感じる看護師さんも多いみたい。
採血がうまいだけではダメ!健診ナースに必要なスキル
健診ナースになりたいなら、やっぱり採血スキルは必要だよね。
そうだね。
病院や施設によっては、1人で30名の採血をこなすこともあるから、採血がうまいほうが良いと思うよ。
でも、採血がうまいことよりも、もっと必要なスキルがあります。
採血よりも必要なスキルって、何ですか?
接遇マナーです。
とくにクレーム対応が正しくできるほうが◎。
これが3つ目のギャップなんです。
たしかに、意外です。
採血スキルよりもクレーム対応…?!
病棟よりもクレームが多いってことですよね?
はい、多いです。
病院は、病気になった人が治すために訪れる場所で、医療費は一部負担。一方、健診センターは、(元気な人が)病気がないか調べる場所で、全額自費になります。
自由診療の美容クリニックなんかもクレームが多い職場です。
なるほど。
それなら、採血で失敗しなければいいってことでしょ?
それはちょっと違うかも…。
多くの健診者は、ホテルやレストランのような丁寧な接客も求めているからです。
プロの看護師として、採血で失敗しないのは大前提。
さらに、ホテルなどのホスピタリティにあふれる接客も必要なんです。
思っていた以上に、求められるものが高いんですね。
そうかもしれません。
ただ、正しいクレーム対応を知っていれば、普通の対応で大丈夫です。
正しいクレーム対応って…?
まず「心情理解・お詫び」⇒「原因・事実確認」⇒「代替案・解決策の提示」⇒「再度のお詫び(感謝)」という流れです。
例えば、健診センターでは、たった1回の採血失敗でクレームになります。
まぁそういうときって、看護師の対応が悪いのが原因なんですよ。
「血管が分かりづらかった」とか、「穿刺したときに動いた」とか、「反対の腕を見せてくれなかった」といった患者さんのせいにしちゃうんです。
ギクッ…!
血管の選定が悪いとか自分のスキル不足だと分かっていても、血管のせいにしちゃうことあります。
正しいクレーム対応を知っていれば、患者さんのせいにはしないよね。
速やかに謝罪⇒自分のミスを認める⇒再度採血させてもらえるよう依頼⇒改めて謝罪という流れをとるはず。
健診者の方たちは、ただ誠意ある対応を求めているだけなんです。
とはいえ、「待ち時間が長い!」とか「後から来院した人が先に終わった」とか理不尽に怒られることもあるんだけど…ね。
健診者が一番言いやすいのが看護師だったりするので、正しいクレーム対応ができることが大事ですね。
まとめ
看護師の転職先として「健診センター」は人気の職場です。
なかなか辞める人も少なく、レア求人なんて言われていますが、実際の定着率はあまり高くありません。
なぜなら、実際に働いたときの3つのギャップがあるからです。
- 仕事内容は、採血だけじゃない
- 忙しすぎて、スキルアップどころじゃない
- 病棟よりも、クレーム対応が多い
以上となります。
「病棟よりも楽」と思っていることから、感じてしまうギャップです。
どんな仕事にも言えることですが、決して楽な仕事なんてないんですね。
そうだね。
健診センターで働く看護師の定着率はあまり高くないと言ったけど、3年以上働いている人も多い職場。
つまり、健診センターで長く働くには、自分にバチッと合えば職場を見つけることも大事なんです。
自分に合う健診センターを探すコツってあるんですか?
私は健診センターの求人を探すとき、3つのポイントで選んでるよ。
そのポイントを、ぜひ教えて下さい!
いいよ!
でも…さすがに今から3つのポイントを解説してたら長くなるから、次の記事で紹介するね。