静脈と思って穿刺したけど、あとからよく考えると逆血が「鮮やかな赤い色」だったような…。
もしかして動脈に刺しちゃったのかな…?
こういった疑問にお答えしていきます。
✓この記事の内容
「動脈」に点滴したら、どうなる?【なぜ落下しないの?】
誤って「動脈」に穿刺した時の対処方法
「動脈」に間違って刺しやすい部位はココ!
✓この記事の信頼性
みも(@Nurse3Info)
この記事を書いている私は、看護師14年目の現役ナースです。
今は健診クリニックで働き、1日10名以上の採血、PET検査&造影検査も対応しているため注射&点滴も行っています。
今回は、動脈に謝って点滴してしまったらどうなるのか?をまとめました。
採血や点滴に慣れてきた頃に起こしやすい内容です。
- 動脈に刺した場合、点滴できるのか答えられない
- 動脈に刺したときの対処方法が分からない
という看護師さんは必ずチェックして下さいね。
「動脈」に点滴したら、どうなる?【なぜ落下しないの?】
動脈に点滴したらどうなるんでしょうか?
結論から言うと、落下しません。
なぜなら、動脈圧が静脈圧に比べて高いから。
普通に点滴を落したくても、動脈圧のほうが強く、点滴が入ってくれません。
その前に、動脈に穿刺した場合、いつもとは違う2つコトで判断できます。
いつもと違う2つのコトとは…
- 血の色
- 逆血の勢い
血の色
静脈血と動脈血では血の色が違います。
その理由は「酸素(ヘモグロビン)」です。
- 静脈血は酸素が含まれていないので「赤黒い色」
- 動脈血は酸素が含まれるので「鮮やかな赤色」
後から振り返ったときに、あなたが気づいた点ですよね。
ただし、これだけでは動脈とは判断できません。
逆血の勢い
動脈圧は、静脈圧に比べて高いので、穿刺した瞬間、勢いよく逆血します。
静脈を穿刺した場合は、針のチューブ部分だけですが、動脈の場合はルートに繋げた瞬間、勢いよく流れます。(拍動と共に)
この時点で「おかしい」と判断できるはず。
静脈ではなく「動脈」に穿刺した場合は直ちに次の【3ステップ】の対処方法をしましょう。
誤って「動脈」に穿刺した時の対処方法
ここからは、誤って「動脈」に穿刺した後の対処方法です。
対処法は次の【3ステップ】↓
- 穿刺部位の上にガーゼを数枚折り重ね、針の上から軽く圧迫する
- 針を静かに抜くと同時に、穿刺した部位を2本指で強く圧迫する
- 圧迫は最低10分以上行う(※ドクターの指示に従う)
絶対に一人で対処しないこと。
動脈穿刺による血腫は急激に大きくなります。血腫が原因で神経損傷を起こす場合もあるので、ドクターの報告は素早く行いましょう。
「動脈」に間違って刺しやすい部位はここ!
では最後は、「動脈」に間違って刺しやすい部位です。
下のイラスト水色の○の部分が、動脈と走行している静脈ポイント(※赤色:動脈、青色:静脈、黄色:神経)↓
その中でも多いのが、内側の血管(尺骨静脈)です。
拍動がなくても動脈だった…というケースもあるので要注意。
もし動脈だった場合は、速やかにドクターに報告し、慌てずに3ステップで対処しましょう。
最後に…
よくあるのが、血の色が赤かった…という理由だけで「動脈」と判断することです。
動脈に穿刺した場合は、ルートに繋げた瞬間、点滴ボトルにむけて勢いよく逆血します。
また、点滴を流そうとしても圧が強いので流れてくれません。
あと、点滴ではなく真空管採血の場合でも、スピッツに入る勢いが通常よりも早くなります。
血の色だけでなく、おかしいポイントが2つ以上あれば、動脈に穿刺したと判断できるので、先ほど紹介した【3つの対処法】を行いましょう。