看護師として出世したいですか?
こう問われて、
「まったく」という看護師さんもいると思いますが、「できれば」と答える看護師さんも少なくないでしょう。
出世しなければ現場を変えることもできず、やりたいこともできないからです。
ところが、どうすれば出世できるか、ということについてはあまり多くが語られていませんよね。
というより、むしろ「間違ったことが語られている」と言ってもいいかもしれません。
つい先日、後輩看護師の花ちゃんが、
「次の主任は花ちゃんしかいない」とみんなに言われていたのに、実際に主任になったのは後輩看護師の田中さんでした。
彼女は大卒で学歴があるけど、私は専門卒だから…?
と言っていました。
たしかに、出世コースに乗るには「学歴」が必要な場合もあります。
しかし、経験的にみんな知っているように、大卒などの「学歴」は出世するかどうかの決定的な要因ではないのです。
大学卒の看護師であっても「出世できるか」は別の話。
では、何がもっとも重要なのか?
この記事では、出世したい看護師さんに向けて、最短で出世する方法について紹介します。
看護師の出世コースとは?
看護師の出世は、
- 主任
- 看護師長
- 副看護部長
- 看護部長
上記の職位を上げて役職に就くのが王道のエリートコースです。
ちなみに、
それぞれの役職の特徴をカンタンにまとめたのが下の表↓
看護部長 | 看護師のトップ。 現場で働くというよりも、看護部全体を管理する立場で、教育や研修・経営・人員配置・他部署との連携など多岐に渡ります。 |
---|---|
副看護部長 | 看護部長を補佐する役割。 補佐といっても、看護部長とほぼ変わらない仕事内容で「決定権」の違いだけで、責任の部分ではほぼ同一です。 |
看護師長 | 各病棟のトップ。 それぞれの科をとりまとめる役割で、看護部長や看護師長の下で各病棟との連携をとります。 |
主任(副師長) | 役職の中で、最も現場寄りな立場。 現場の看護師をまとめつつ、看護師長の補佐的な役割も。 |
じゃあ、
このエリートコースに乗るためには、何が必要なんでしょうか?
看護師として最短で出世するために必要な3つの条件
看護師が出世するためには、
- 経験年数
- 年齢
- 資格
上記3つが必要な条件となります。
それぞれ分かりやすく解説していきますね!
経験年数
看護師として出世するためには、経験年数が必要となります。
経験年数の目安は以下のとおり↓
主任(副師長):臨床経験10年前後
看護師長:臨床経験10年〜20年+管理職経験
看護部長:臨床経験30年前後+管理職経験
看護師が出世するには経験年数が必要になるため、主任は30代、看護師長は40代、看護部長は50代で就くことが一般的です。
年齢
看護師が出世するときに「年齢」も大事な要素。
ただし、どこで出世するかで「年齢」が変わるので注意しましょう。
というのも…
大学病院など規模が大きい病院だと、看護師の平均年齢は30歳前後。
一方、中途採用者の多い病院だと、看護師の平均年齢は40歳と言われています。
北里大学病院の看護部の平均年齢は32.3歳で、中途採用者に人気の東京都立松沢病院の平均年齢は38歳です。
毎年新卒がたくさん入る病院の看護師長が、40代とか50代だと近づきがたい存在で相談したくてもできなさそう…。
中途採用者が多い病院は40代のベテラン層が多いから、30代の看護師長だと「なんで年下のこと聞かないとダメなの?」と反発したり、無視する看護師も出てきそう…。
現場のホメオスタシスを維持するために、
勤続年数やスキルも大事ですが、周りのスタッフの年齢に合わせて「看護師長」を選んでいます。
後輩に先を越された30代の看護師でも、中途採用の多い病院を選べば、まだ出世できる可能性があるってこと!
資格
病院によっては、看護師長や看護部長に出世するためには、日本看護協会の資格「認定看護管理者」が必要な場合もあります。
認定看護管理者の受験資格は、実務経験5年以上のほか、以下の条件を満たしていればOKです↓
- 認定看護管理者教育課程180時間履修
- 看護系大学院で看護管理を専攻
- 3年以上看護師長以上の役職に就き、看護管理分野で修士号取得
- 3年以上看護師長以上の役職に就き、管理に関する学問分野で修士号取得
書類審査に合格すると筆記試験に進むことができます。
試験は年に1度きりですが、筆記試験は20問のマークシート形式+記述問題ですが、合格率は70%以上。
5年以上という実務経験と教育課程の終了といった受験資格を満たすことが大きな壁となっていますが、試験の難易度はそれほど高くないでしょう。
「認定看護師」「専門看護師」の資格を取る方法は、【さらなる資格を目指す!】で詳しく解説しているので、ぜひチェックしてくださいね。
「出世する看護師」と「主任になれない看護師」の違い
必ずしも仕事ができる=出世できるとは限りません。
というのも、
現場で活躍する看護師と管理職になる看護師では、求められる役割や能力が異なるからです。
あのフィギュアスケーターの浅田真央ちゃんが、なぜオリンピックなどで解説しないか理由を聞かれてこう答えていました。
「私は解説者には向かないんです。そもそも何回転したとか、瞬時に判断はできないし、どちらかというと私は競技のほうが楽しいので…」
と。
真央ちゃんの言うとおり、必ずしもトップ選手だったからといって、みんな解説が上手とは限りません。
実際にフィギュアスケート以外の解説者を見ても、活躍するのはトップ選手以外の解説者が多いように思えます。
看護師も同じで、
仕事ができる看護師=管理職になる看護師ではなく、求められる能力が全然違うのです。
管理職になる看護師に求められる能力とは?
じゃあ、管理職になりたい看護師はどんな能力が必要なんでしょうか。
一方、管理職になる看護師に求められる能力は、次の3つです↓
- コミュニケーション能力が高く、人間関係の調整が上手
- 持ち前の忍耐力&判断力で、信頼関係を築く
- 病院経営の視点を持っている
コミュニケーション能力
出世する看護師は、「コミュニケーション能力が高い」ことが共通しています。
看護師の世界は女社会なので、人間関係のトラブルは避けて通れません。
コミュニケーション能力が高ければ、スタッフ同士との関係も良好になりやすいですし、上司や同期、部下とも一定をキープできますよね。
つまり、病院としてもそういう人を出世させたほうが、コネクション的な役割を果たすこともできるってワケです。
スタッフ一人ひとりの目標管理も看護師長の重要な仕事のひとつ。
個々が設定した目標管理を評価するために面談しますが、さまざまなコミュニケーションスキルをしても面談がスムーズにいかないこともあります。
相手が話しやすいと思える「信頼関係を築く」ためにも、コミュニケーション能力は欠かせないのです。
忍耐力&判断力
看護師は、喜びよりも辛さや憤りを感じることが多い職業。
忍耐力を持って業務を取り組める人は出世できる看護師の条件といえるでしょう。
というのも、
主任としてふさわしいか評価しているのは、看護師長です。
日々の業務で面倒なこと、大変なことが起きても、根気よく対処したり、ときには的確にズバッと助言すれば、
「〇〇さんが近くにいると本当に助かる」という存在になるってワケ!
もちろん他にも関係しますが、上司から信頼されるようになるのが出世の近道と言えるでしょう。
マネジメント能力
管理職になる看護師は、「マネジメント能力」を求められる傾向です。
マネジメント能力がある人は、洞察力に優れており、周囲の状況や他人をよく観察していると言われています。
実際に現場は毎日、すごい量の仕事ではないですか?
適切な仕事を振ることができれば、パフォーマンス力は上がって効率よく仕事をこなせるでしょう。
しかし、マネジメント能力がないと、パフォーマンス能力は下がり、残業が増えてしまうってワケ。
病院としてもマネジメント能力が高い人に管理職を任せたいのです。
スピード出世したい看護師は、転職を検討しよう!
「もうすぐ30歳なのに…出世できない!」
「後輩に先を越されてしまった…」
「スピード出世したい!」
と悩んでいる看護師さんは、転職を視野に入れて行動しましょう。
理由はズバリ、
管理職の求人を狙えばスピード出世できる可能性があるからです。
当然といえば当然ですが、1つの病棟に1名しか看護師長にはなれませんよね。
厚生労働省によると1病棟あたりの病床数は46.5床。
もしあなたが働く病院が700床なら15人、400床なら8人しか看護師長になれません。
今の病院で管理職を目指すということは、つまり…看護師長のポストが空くまで待つってこと。
看護部長が退職して看護師長が出世する。
もしくは、看護師長が何らかの理由で退職しない限りポストは空きませんよね。
キャリアや実力があっても出世できない場合、最短で出世したいと考えている場合は、転職を検討することをオススメします。
管理職の求人が多い「看護師転職サイト」はここ!
管理職の求人はやみくもに探しても見つかりません。
管理職の求人が多い以下の看護師転職サイトに登録して探しましょう。
ただし、「管理職」または「管理職候補」に転職するためには、「経験年数」や「主任・師長などの役職経験」のような応募条件が求められるケースがあります。
管理職の求人は、独占求人や非公開求人のことが多いため、上記の看護師転職サイトに無料登録を行い、条件を伝えて管理職の求人を紹介してもらいましょう。
もっと詳しいサポート内容が知りたい方は、以下の記事を参考にしてください↓
看護師の出世に関する「よくある質問」
Q.看護師として出世するためには学歴が関係する?
看護師の出世は、学歴よりも看護経験が重要視されるため、関係性は薄いでしょう。
しかし、大学病院などの派閥が強い場合は、注意が必要です。
とはいえ、管理職の求人のほとんどが学問不問なので、学歴は必要ないと言えるでしょう。
Q.男性看護師は大卒でも出世は難しい?
残念ながら…男性看護師の出世はもっとも険しい道です。
大卒かつ認定看護師の資格もあって人望が厚い人であれば、看護師長になっている人もいます。
しかし、一般病棟では「看護師長」にはなりにくいかもしれません。
ほぼ女の世界っていう理由で…。
病院内にいる男性看護師の人数は、多くても数十人。病棟に一人いるかいないかのレベルなので、一般病棟では出世は厳しいのが現状です。
ですが、男性看護師の出世コースは存在します。
それが、男性の看護師長が多いのが精神科病院です。
もしあなたが男性看護師で出世したいのであれば、精神科病院に転職しましょう。
Q.出世のために専門看護師や認定看護師の資格は必要ですか?
専門看護師や認定看護師となって出世する場合もありますが、必ずしも看護師の出世には必要ありません。
出世のために資格を取りたいなら、「認定看護管理者」の取得をオススメします。
Q.出世できない看護師はどんな人?
このページで紹介した「管理職になる看護師に求められる能力」に当てはまらない看護師は、出世しにくいと言えるでしょう。
Q.出世を諦めたほうがいい年齢は何歳?
看護師の出世の第一関門「主任」になるには、経験年数が10年前後必要です。
したがって、出世できるかどうかは30代で決まるケースがほとんど。
後輩が先に出世した場合、
40代で出世を考えている場合は、師長の評価をガラリと変える努力が必要となるため、職場を変更することをおすすめします。
Q.出世したくありません、断っても大丈夫?
出世を断ることは可能です。
「仕事よりもプライベートを重視したい」「管理職に魅力を感じない」「転職を前提に働いている」と考える看護師が多いため、断る人も少なくありません。
ただ、師長に選んでもらった感謝の気持ちは忘れずに、自体することが大切です。
詳しくは【こちらの記事】で断り方を紹介しています。
Q.看護師が出世する場合の覚悟とは?
管理職になれば仕事内容はガラリと変わり、裏方メインとなります。
現場の仕事にやりがいを感じていた看護師にとっては、相当なストレスがかかる可能性があります。
また、同じ立場の看護師はいなくなり孤独に感じやすくなるため、相談できる人を見つけておきましょう。
まとめ
看護師が出世する方法を紹介しましたが、主任や看護師長になれるかは運の要素もあります。
キャリアや実力があっても管理職のポストが空いていなければなれません。
宝塚歌劇団でいうとトップの席はたった5席(花組・星組・雪組・月組・宙組)。
タイミングによっては実力や人気があってもトップになれなかった人は少なくありません。
最短で出世したいと考えている場合は、運も味方につける意味でも、転職を検討することをオススメします。