分からないことがあったら質問してね。
プリセプターやフォローの看護師に一度は言われたであろうこの言葉。
新人にとってはこの言葉があるだけで質問するハードルが低くなるのですが、そもそも「何が分からないのか分からない…」と感じている人も多いはず。
勉強しなければという気持ちはあるのに、何が理解できていないのか、分からないことが何なのかも分からなくて気持ちの焦りだけが先走ってしまいますよね。
そこでこの記事では、「何が分からないのかが分からない」という状態から脱却する方法について解説していこうと思います。
- 仕事で分からないことが多くて前に進めていない
- 分からないことが理由で、病院に行くのが怖いと感じている
という新人ナースでも、1度ここで紹介する方法を身につけることができれば、今後どんな環境で働いても仕事に慣れることができるようになります。
はじめに
そもそも「何が分からないのかが分からない」という状況になってしまう主な原因は、ただ「何となく」理解してしまっていることだと思います。
入職したばかりは、初めての業務内容ばかりなので、そう感じるのは仕方ないかもしれません。
しかし、仕事に慣れてくる3ヶ月経っても同じように感じているのであれば、それはその仕事内容をよく理解しきれていないという状態です。
「何となく」わかったような気になって、自分の中の疑問を掘り下げるということをしていないから質問も思いつかない。
そうなってしまうと…自分の欠点や弱点に気づけていないので、なかなか状況が改善せずに、いつまでたっても仕事ができるようにならないという悪循環に陥ってしまうのです。
つまり、「何となく」という感覚こそが一番の敵なのだ!
まずは「何となく」という感覚を減らすため、分からない原因を突き止めて分析してみましょう。
仕事の何が分からないのか分からない原因を突き止める5つの方法
ここからは仕事が分からない原因を突き止める方法を5つ紹介します。
- 仕事中に感じた「違和感」を書き出す
- ミスしたことをを分析する
- 上司や先輩がどうやって仕事をしているのか観察する
- 基本に戻ってマニュアルを熟読する
- メモをまとめる
仕事中に感じた「違和感」を書き出す
1つ目は、仕事中に感じた違和感を書き出すという方法です。
表面的な部分しか理解していなくてわかったフリで仕事を進めたり、そもそも疑問を感じていないという人は案外多いもの。
仕事をするなかで、
「あれ…?何でこの作業が必要なんだろう…」
「このやり方で合ってたっけ…?」
「自分がやる仕事とは思っていなくて注意を受けた」
という違和感を感じることがあるかもしれません。
その違和感を放置すると、仕事が分からなくなってしまいます。
違和感を書き出すことで、客観的に考えることができ、分からない点が明確になります。
さらに、質問もしやすくなるので、自分で分からないこともすぐに解消できるのです。
ミスしたことを分析する
「やらかしてしまった…」と漠然に思っているだけでは何も変わりません。
ミスを指摘されたらその内容をノートに書き出し、なぜミスをしたのか考えましょう。
そして、そのミスはどうすれば防ぐことができたのか…までしっかり考え、書き出すのがポイントです。
・指示の内容が不十分だった
→指示の内容を復唱する
→ワークシートに分かるように書く
・スケジュールの確認が不十分だった
→各患者のイベントを時系列で書き出す
・見直しが不十分だった
→見直しは1回だけでなく2回行う
ミスを分析すると、同じミスを繰り返さなくなるだけでなく、分からないと感じる原因がはっきりしてきますよ!
先輩たちがどうやって仕事をしているのか観察する
「仕事は見て覚えろ」という言葉があるように、先輩たちの仕事のやり方を観察することで、仕事が分からない原因が見えてくる場合もあります。
- たった10分で必要な情報を取っている
- 記録はその場で入力して後回しにしない
- タイマーを使って時間管理をしている
…等など、違いが分かるかもしれません。
自分に足りていないものが何か分かれば、仕事が分からない原因を突き止められますよ。
基本に戻ってマニュアルを熟読する
看護技術などに関しては、マニュアルを熟読してみるのもひとつの手です。
基本的な知識が足りていなかったり、理解が不十分だったりすることが原因かもしれません。
意外と基本は忘れてしまうので、困ったときは一度確認してみることをオススメします。
メモをまとめる
看護師の場合、マニュアルがない業務も多いので、メモをまとめておき、見直せる状態にしておきましょう。
というのも、指示や説明を受けてもすぐには覚えられません。
仕事が分からないときの対処法
実際に「仕事が分からない」ときに、次のことをやってみましょう!
任された段階で分からないことがないか確認する
先輩に「もうこれ出来るよね?」と言われたとき、「こうやってやるんですよね」と確認してから実施しましょう。
最初は確認が面倒だし、先輩にも嫌がられるかもしれません。
しかし、「何となく」という感覚でやってしまう原因になり、同じミスを繰り返すことになります。
早い段階で気づくことができるので、確認は必ず行いましょう。
とにかく確認作業を徹底する
多重タスクの看護業務。
1つの仕事が終わる度に確認作業をすれば、ケアレスミスも減り、わからないままになってしまうことがなくなります。
最初の間は、仕事の途中段階でこまめに確認するようにしましょう。
小さな疑問も解決しながら仕事を進めるので、仕事が分かるようになってきます。
分からないことをメモし、調べる癖をつける
「後で調べよう!」
頭でそう思うだけでなく、必ずメモしてください。
なぜなら、数分後にはキレイさっぱり忘れてしまい、絶対に調べないから。
私も何度も経験していますが、同じような人は多いはずです。
ただメモをしても忘れることもあります。
メモしたものの、どこに書いたかわからないし、なんて書いたかも覚えていないということも。
新人時代の反省点としては、業務上のメモと疑問用のメモをひと目で分かる工夫をしておけばよかったと思っています。(例:表面は通常メモ、裏側は疑問用など)
調べる癖をつけるため、ルールを決めてメモする習慣をつけることが大事ですね。
事前準備を怠らない
自分でできる限りの事前準備はしておきましょう。
例えば…
- マニュアルがあれば読み、不明点を明確にしておく
- 看護技術本や参考書で必要な知識を身につけておく
- 業務の流れをイメトレしておく
…等しておくことで、わからない仕事でもスムーズに取り組みはじめることができます。
こうした準備が、わからないことを減らすポイントです。
先輩に素直に聞く
調べてもわからないことは、素直に先輩に素直に聞いてみましょう。
意外と調べても教科書、参考書、ネットにも載っていないことも多いです。
わからないことで悩み続けて手が止まってしまうより、早く解消したほうが仕事は進みます。
自分で調べてみて、
- ネットにも参考書にも載っていない
- 理解するのに時間がかかりそう
- すぐに解決する必要がある
こんな場合は、周囲を頼って素直に聞いたほうがいいですね。
とはいえ、先輩に聞く場合、質問の仕方が悪いと「自分で調べて!」と冷たくいわれることも…。
次の章で先輩に嫌な顔をされない「質問の仕方」を解説していこうと思います。
仕事が分からないときの質問の仕方
いちいち根拠を聞いてきたり、わからないことがあったら「調べてきて」という先輩看護師は多いですよね。
ぶっちゃけ、その場で教えたほうが効率よく仕事はできると思います。
ただ、聞けば教えてくれることが当たり前になれば、時間を割いて教えていることへの感謝はなくなり、自分で考える必要がなくなるかもしれません。
ですので、質問する場合、
- 自分で調べてから質問をする
- わかったフリをしない
- 教えてくれる人に敬意を払う
最低限でもこの3つをクリアした上で質問しましょう。
それでも嫌な顔をする先輩もいるので、次のことも念頭にいれて質問してください。
相手の立場に立って質問する
「教えてくれる人に敬意を払う」という具体的な部分ですね。
- 質問されるタイミング⇒休憩前、退勤前は×
- 質問の仕方⇒質問+自分なりの見解や仮説も伝える
- 何が聞きたいのか明確であるか⇒質問はシンプルかつ具体的に
先輩の貴重な時間をもらうことになるので、短時間でわかりやすく伝えるのがポイント!
これらを意識して、相手が質問に答えやすいように聞くことが大切です。
「わからないのに教えてくれない」というのではなく、教えてもらえる機会を自分でつかみましょう!
仕事が分からないときの注意したいこと
新人は仕事ができなくて当たり前なんだけど、仕事がわからない自分を責めたり、落ち込んでしまいますよね。
仕事でわからないという状況は、誰にでも起こりえることであり、悪いことではありません。
一人前の看護師になるため、必要なことです。
しかし、わからない状況が続くと、焦りや不安から悪い状況へ陥りがちに…。
ここでは悪循環に陥らないため、注意してほしいことをお伝えします。
自分を責めない
仕事が分からなくても自分を責める必要はありません。
新人の間はとくに、
周りはみんなできているのに、こんな簡単なこともできないなんて…
というように、同期や先輩と無意識に比べてしまいます。
しかし、最初は誰しもわからないことだらけ。
問題なのは、仕事がわからないことではなく、疑問を解消せずに放置することです。
そのことを理解して、自分を必要以上に責めずに前向きに対策していきましょう。
1人で抱え込まない
1人で抱え込んでしまうと、どんどんネガティブな方向に考えてしまい、悪循環になってしまいます。
自分で何とかしようとするよりも、周囲を頼って早く疑問を解決したほうが結果的に信頼され、仕事が効果的に進みます。
プリセプターやフォロー看護師はそんな時にいるのを忘れないでくださいね。
分からないことを恥だと思わない
わからないことは恥ずかしいことでもなんでもない。
まずこう思うことが大事です。
恥だからわからないことはいけないんだ、という私たちが持ちやすい観念を書き換えるためにも。
「できない」「わからない」は劣等感の理由にしてしまうことが多いかもしれませんが、ちょっと勇気はいるけど「わからない」を受け入れると心は楽になりますよ。
解消した疑問はきちんと覚える
「わからない」ことで注意が必要なのが、解消した疑問で悩まないことです。
せっかく調べたり、先輩に聞いて疑問を解消しても、忘れてしまっては意味がありません。
きちんと覚えれるようにメモをしたりして、同じことで仕事の手が止まることのないようにしておきましょう。
繰り返し聞き直すと優しかったプリセプターも冷たくなるかも…。
まずは一度自分で調べる
わからないことがあるときは、まず自分で調べましょう。
聞いたほうが早いからと何でもすぐに先輩に聞いていると、自分で調べる力がつかず、周囲からも煙たがられて嫌われてしまいます。
まずは自分の力で疑問解消できるか試みる姿勢を身につけましょう。
それで分からなかった場合は、質問のときに自分で調べたことを伝えることで、「自分で調べて!」と冷たく先輩でもすんなり教えもらえます。
まとめ
聞いたことをそのまま知識として溜め込むのではなく、自分1人で仕事をするときに実践できて初めてできたことになります。
根本的なことが分かっていても、いざ1人でしてみると「この判断は正しいのか?」と不安になってしまうことも。
焦って作業に取り掛かっても冷静な判断ができなくなってしまい、ミスにもつながります。
その場合は、無理に自分で判断するよりも周りに確認することが大切です。
焦る気持ちもあるかと思いますが、まだ1年目です。
少しずつできることが増えてくるはずなので、丁寧にこなしていけばOK。
それでも改善できないなら転職も考えよう
ただ、改善策を試しても仕事がわからないときがあまりにも頻繁にあるようなら、異動もしくは転職も視野に入れたほうが良いでしょう。
真面目に取り組んでいるにも関わらずわからないことが出てくるのは、現在の仕事に適正がないか、病院の教育体制が整っていない可能性があります。
同じ看護師資格でも急性期、慢性期、診療科が変わるだけで仕事内容が全然違うため、自分に合った職場を見つけることが大切といえるでしょう。
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